第124話 現代人は記憶を回収する
シュンに多少の路銀、日本円にして100万円近い額をポンと渡してお別れした後、アメシストに確認を行う。
「記憶の方は回収出来た?」
「はい。一応、乗っ取っていたことに気付いてはいないようです」
「……何か、シュンが思い出せてなかった原作知識とかあるなら纏めておいてくれないか」
「基本的に、話していた内容が全てですね。特段伝えるべき内容は少ないです」
アメシストは相手の体内に入ると、身体を乗っ取れるので今回はシュンの身体を一瞬乗っ取っている。その時に記憶も確認出来るので今回はシュンの持つ原作知識の深掘りのための乗っ取りだな。
人間の脳の構造的に、基本的には一度見たものは忘れないそうだけど思い出せなくなるから『忘れる』らしい。で、アメシストはその忘れた記憶を乗っ取った際に読み取れるということだな。
今回、シュンは覚えている原作知識をほとんど話していたようだけど、当然忘れている原作知識というのは多かった。例えば炎神セブンスのイベントでは外宇宙から侵攻してくるイベントがあったり、異世界ギルドストーリーでは存在するけどこの世界では存在しない、ドラゴニュートという種族について話してなかったり。
……ドラゴニュート(竜人)は異世界ギルドストーリーの設定上、ドラゴンと人の間に出来た子供らしいけど、ダンジョンで出て来るドラゴンって基本的にめっちゃ大きい。あれと子作り出来る人間がいるのかは疑問。ドラゴンも擬人化するのか?いやでもそれだとドラゴニュートでの登場じゃなくてドラゴン(魔物娘の姿)で良いような気もする。
まあアマゾネスがゲームでもこの世界でもえげつない生態をしているし、ドラゴンと人との間には何らかの繁殖方法があるのだと思っておこう。雄ドラゴンに惚れる人間の女がいるかもしれないし、その逆も然り。趣味嗜好を否定してはいけない。
また、同サークルのゲームの中にはモンスター娘の短編エロゲも幾つかあるけどシュンはそれらのエロゲをシュンは買ってないため内容は分からず。販売サイトで売っているのはもうそれだけだな。
2000年頃に『シュヴァリエと花騎士』、それからは『異世界ギルドストーリー』を1から3まで作りつつ、モンスター娘の短編エロゲーを幾つか売りながら2021年には宇宙を舞台にした戦略SLG『炎神セブンス』を出した感じか。全部個人で作ってるっぽいからまあ凄い人なのだろう。
ヒトラーさんが会った時が30代ぐらい、だったということは自分が移転した2023年だと50代ってところ。それでエロゲ作ってそこそこの売り上げがあるみたいなのは凄いか。
……モンスター娘の短編エロゲ集が核地雷のような気がしてならないけど、一通りこの世界の元となったものは把握出来たかな。一先ず当分は安全っぽいし、ダンジョンには日課的に潜りつつ、エワル国がどうなるか見守るか。
「というわけで将来的には宇宙空間で戦艦使ってドンパチやるみたいです。地球と」
「……まあ宇宙に関してはこちらは関係ないからそれはどうでも良いとして、異世界ギルドストーリー3ではドラゴニュートという種族が追加されたのか。プレイしたかったな」
「異世界ギルドストーリーの種族といえばダークエルフもまだこの世界で見かけてないし、いるのかも怪しいです。そちらで見かけました?」
「いや、まだだ。だが設定上でも隠れて生活しているような種族だから密林の中から探すのは骨が折れるぞ」
スターリンにいるレーニンさんにシュンとの会話内容を伝えると向こうはドラゴニュートを知らなかったので新しく追加された種族であることを再確認。あとダークエルフについても確認しておくけど向こうもよく分かっていなかった。
まあダークエルフに関しては人類が統一国家を持って南側の地域の開拓を始めたらすぐに見つかりそうな気もする。キュー達が全員で照魔境を使って隅々まで調べるのもありだけど……それでも時間かかりそうな気がするから放置で良いか。
「『炎神セブンス』は凌辱ゲームのようですね。支配する惑星から娘を攫って犯すコマンドがあるゲームです」
「ハッピーエンド主義はどこ行った……」
「主人公視点では基本的にハッピーエンドです。エンディングは基本ハーレムですので」
「敵国全部滅ぼした上で敵国の司令官達を全員孕ませるエンドとかありそう」
「それはエンディングの1つですね」
アメシストから追加情報が入るけど敵司令官を捕まえて犯すのが基本のゲームらしいから『シュヴァリエと花騎士』のようなストーリー性のあるゲームではないっぽいかな。純愛もあるっぽいけど基本寝取り寝取られとかだいぶ性癖歪んでる気がする。
とりあえず、この後で更にゲームを作らないことを祈るか。作ったとして、この世界に反映されるのかが分からないから関係ないかもしれないけど。あとはまあ、時系列分かったし魔王復活は楽しみにしておこう。……流石に勝てる戦力だと思うし、負けることはあまり考えなくても良いかな。
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