第106話 現代人は容赦がない

スターリン軍が壊滅的被害を受け、前線を後退させたのを見て、スターリンはかなり辛い状況に追い込まれたと自分は感じた。フェルミン共和国の正規軍10万人はほぼ健在だし、マウリス教国の聖女達の軍も負傷者を外して大体5万人はまだ戦える状態。


一方のスターリン軍はかき集めた軍で3万人程度という、武器と防具が同一レベルなら相手にならないぐらいに数の差があった。それでも大砲や銃で優位に戦えていたわけだし、近代的な軍というのは強い。


ただ、弾切れになった瞬間にスターリン軍は敗走。……よく考えたら今回の会戦の初期はこれにフェルミン共和国の民衆軍10万人が加わっていたから25万人VS3万人って感じのスタートだったのか。そりゃ負けるわ。むしろ最初はよく優位だったな。


スターリン軍は壊滅したけど、フェルミン共和国やマウリス教国の軍もかなりの被害は受けたため、鬱憤というかそういうものは溜まっていたのだろう。民衆軍10万人は全滅したしな。その結果、フェルミン共和国とマウリス教国の軍は徹底的にスターリンの村や町を焼き滅ぼした。まあこの世界だとよく見る光景だし、地球の方も一昔前は大体こんな感じだったんじゃね?略奪とか軍隊の基本動作だしな。


……焼き回ったのはどちらかというとフェルミン共和国の軍隊かな。まあ異教徒の国だし、凌辱は当たり前のように起きて、わりと非人道的行為も散見される。自分が「こいつら非人道的行為してる」って言える立場じゃないけど、戦争に負けた国の国民は悲惨だ。


うわでもえぐいな。捕虜に対しては拷問してるし。銃の操作方法とか作り方を聞くために、1本ずつ針を刺されて針山のようになってる人や、眼と鼻と舌を耳を削られて五感の大半を物理的に喪失させられている人がいる。正直人間のやることとは思えない。でもそうか、そういう手法もあるのか。


女に対しても凌辱した後は基本おもちゃにするとかマウリス教の人って怖い。まあでも美少女のぶつ切りを今まで散々見て来たから、フィストファックやフットファックぐらいは何とも思わんな。フェルミン共和国の民衆軍の生き残りが頭をあそこに突っ込んで窒息死した場面とか爆笑出来たし。


「……これはスターリンが負けそうなのじゃが、良いのかの?主様の同郷達の国じゃろう?」

「ヒトラー名乗るなら、アレ使う可能性もあるしまだ分からんぞ」

「毒ガスかの?確かに研究中じゃったな」

「それもあるけど、上空から見た時に何カ所か前線から少し離れたところに大型の大砲が幾つかあっただろ?あれ使うぞたぶん」


前線近くの村々で蹂躙の限りを尽くしたマウリス教国とフェルミン共和国の軍は、再集結をしてスターリンの首都への進軍を開始するけど再集結ポイントはやっぱりそこか。それならまあ、餌食になるな。


……フェルミン共和国とマウリス教国の軍が再集結した直後、スターリン側は大型の大砲を使って砲撃を開始する。ここまでなら自分の想定通りだけど、スターリン側はこの砲撃でクラスター爆弾を使用した。とうとう使いやがったという感じだな。


一度勝利して浮かれている軍が、集結した直後に撃ち込まれたクラスター爆弾。全部撃ちきる勢いで砲撃を行ったのか、各地に配置された16門の大砲からは30発ずつクラスター爆弾が撃ち込まれ、計480発が15万を超す大軍を襲った。


1発で最低10人は死者が出るだろうから、この砲撃だけでも5000人ぐらいは死んだな。そしてそれ以上に負傷者が出た軍は、恐慌状態に陥り撤退を開始した。というかもう壊走状態だ。


何というか、禁止される理由がよく分かるわ。コスパ良いし一瞬であの大軍が壊滅するとか色々とえげつない。というか国境付近にこれを配備しろよと思ったけど、自領内だけで使用したのはまだ人としての良心が残っていたみたいな感じか。そんなもの犬に食べさせておけば良いのに。


恐らく、将来的には毒ガス弾等も撃ち込めるよう色々と考えてあの配置にしたのだろう。伊達にヒトラーを名乗ってないわあの人。


軍隊としての撤退ではなく、もう個人個人で逃げ出すレベルとか無事に国境まで辿り着ける割合は高くないだろう。指揮官が何人も死んでいるだろうし、指揮系統は無茶苦茶だ。


一方でスターリン側は、残り少ない軍隊にはなったけど指揮系統保っている辺りは相当組織化されてる。当然追撃戦を展開し、弾が無くなった以上は銃剣で、槍で、攻撃を開始して敵軍を追い払った。


今回の大規模な衝突では、双方が疲弊したという結果に終わったけどマウリス教国が大砲や銃を鹵獲した以上、マウリス教国が少し得をした戦争になったかな。国力があるからすぐに生産していくようになって、スターリン側の技術的な優位性はどんどん失われていくことになる。


そうなる前にヒトラーさんもマウリス教国へ仕掛けたいだろうけど今回で銃弾や砲弾は使いつくしただろうし……やっぱり戦争って、そこらのギャンブルよりハイリスクローリーターンだな。。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る