第98話 現代人は耳かきが好き

朝、誰かが起こしに来たと思って眼が覚めると今日はアルが目覚まし当番だった。朝から美女が起こしてくれるのは非常に助かるが、アルに関しては今だに同じアルラウネの裏切りのトラウマがあるので怖く感じる時もある。流石にもう信用はしてるし、色々と個別でお願いしているようなこともあるからトラウマが払拭できると良いな。


今日からアメシストの枕を初めて使ったわけだけど、今まで以上にぐっすりと眠れたから不定形は凄い。完璧に自分に合った枕だったわ。これで布団までアメシストの変化で作ったら……いや現状で満足してるし要らんな。変なこと考えるのは辞めよう。


「……おはよう。朝はいつものアレ作るからレタスとトマトよろしく」

「はい」

「ベーコンまだあったよね?あとはチキン焼くか」


地球の野菜に関して、イメージをアメシストに共有してアルに見せてから、似たような野菜を用意してくれるようになったのでこの異世界でもレタス擬きやトマト擬きを食べることが出来るようになった。探せば似たような植物自体はあるものだね。


このレタスとトマトに、網焼きをしたグリルチキンとベーコンをパンで挟んでLGBTバーガーの完成。そのうち転移者チェッカーとして大々的に売り出そうかと考えている奴だけど、LGBTを主張している奴の領地に行きたいと思うかは微妙。


ちなみに名前に関係なくこのバーガー自体が魔物達に非常に好評なので最近は週3回ぐらい朝からこれである。まあ普通に美味しいというか、しっかり肉を食えるハンバーガーで自分も好きな部類に入るので作る回数は多くなった。そんなに手間じゃないし。


「昨日も言ったけど今日と明日は休日で、明後日からは200階突破するまで無帰還でダンジョンに籠るからその予定で」

「はーい!200階まで無帰還で行くってことは4日ぐらいかな?」

「探索に手間取ったら5日ぐらいだろうな。

……このペースってたぶんおかしいんだよな?」

「今までの最高到達階層から更に20階も深いところまで一気に潜ろうとする人がマスター以外にいないので比較対象がいないかと」


自分が作ったハンバーガーと、マトンの作ってくれた魚介類のスープを食べながら今日と明日は休日であることを伝える。昨日はダンジョンから帰って来たら労災が発生していたので身体を治したり高所作業用の道具を作ったり売り込んだりと、結構働いた感じがするので今日はのんびりしよう。


「あれ?耳かきどこ行った?」

「耳かきとはなんでしょう?」

「木の棒みたいなやつ。そこら辺に転がっていたと思うけど」

「……申し訳ございません。マスターの私物とは思わず、木の枝のようなものでしたから数日前に私が捨ててしまいました」


少し耳が痒いなと思ったので耳かきをしようと思って耳かきを探すと、マトンが廃棄していたので木の耳かきは知らない人から見たらただの木の枝らしい。いやまあ実際にただの木の枝を先端だけ加工して作った耳かきだったし仕方ない。木の枝でもそこら辺転がってたら危ないもんね。


「アメシストは耳かき見てたっけ?まあ良いや、耳かき作れる?今は心読んで良いよ」

「はい。その程度の小道具であれば造作もございません。

女性の太ももに頭を乗せながら耳掃除をして欲しいのであれば私が行いますよ」

「……そこまで読まなくても良い。

けど、お願いしようかな」


というわけでアメシストに耳かきを作って貰う。イメージ共有すれば小道具がポンと出て来るの本当に便利。ついでにせっかくだから耳掃除のお願いをしてみる。……奉仕種族の欲求について色々と本人に聞いたところ「使われたい」が最上位に来るようだし。


ごろんと横になってアメシストの太ももに頭を乗せるとイメージ通りの柔らかさだけどたぶんこれイメージ通りの柔らかさにするために太ももの柔らかさを調整しているから素直に喜べない。普通の人間の女性の太ももの硬さでお願いと言うと少し硬くなったのでイメージとは違ったな。


……どうして普通の女性の太ももの硬さを理解しているのかは考えないようにする。たぶん食べたんじゃないかなあ。アメーバスライムの進化条件に『人を食べる』というのがあったんだけど、1人じゃ足りないみたいだし間違いなく複数人食べている。


「それでは始めますね」

「お願いします」


まあこれはこれでと思ったところでアメシストの作った耳かきが耳の中に入って来て、太ももが溶ける。あ、形状維持出来てないということは耳かきを挿入して絶頂してるなこれ。太ももには頭を預けていたので太ももの中に入って……駄目だ息が出来ねえ。死ぬ。


「マスターあああ!」

「げほっげぼっ……はぁはあ、死ぬかと思った。」

「……はっ、私は何を」


……まあ最悪アメシストが肺の中に入って来ても何とかなるのは既に経験済みだけどアメシストの身体で溺れるのはめっちゃ苦しいので普通に辛い。というか迂闊だったな。あの耳かきもアメシストで出来ているんだからトリップする可能性ぐらい考えておけば良かった。耳かきを挿入してトリップって何だよと思うけどこの奉仕種族はたまにそういう状態になって不定形状態になる。


マトンに助け出された自分は、アメシストに殴りかかろうとするマトンを止めてマトンに耳かきを依頼。……こっちもこっちで鼓膜を突き破って来そうな気がしたので丁寧に説明から入ると真面目に耳かきをしてくれたので非常に良かった。

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