第27話 現代人は戦争に無関心

風邪が完治し、3日間ぐらいダンジョンの65階で全身鋼のミノタウロス狩りに勤しんでいた頃。王都で兵を集め始めているという噂が流れ始めた。やっぱり戦争は始まるのか。まああの王子、祖国復興とか言ってたしゲームのイベントというかストーリー始まった感がある。


今回の戦争の目的は、今いる国であるリトネコ王国の王女が嫁いだ先の国が攻められたから反撃するとのこと。該当国は東と南で二か国あるけど、東の方の国を叩くみたい。……あの暴力宰相がゲームの登場キャラだとして、体制派なのか反体制派かなのは凄く気になる。敵として出て来るなら厄介なキャラになってそう。自分既に喧嘩売ったけど。


まあ自分は関係ないし、Dランク冒険者扱いのため徴発とかはない。戦争行ったら活躍次第で結構な大金を得られるらしいけど自分の場合は従軍するよりダンジョン潜る方が圧倒的に稼げるからなあ。


「この街が国境に近いことは理解してるな?ダンジョン潜って帰って来たら誰もいないかもしれんぞ?何なら敵国の軍に占領されている可能性すらある」

「東のヴィランク帝国の軍がこの街を占拠していたとして、自分に害あります?」

「……家から金銀財宝が盗まれるかもしれん」

「……いや今はムーとスネーク君が家で自宅警備員しているので入った人から死にますよ?」

「サキュバスとメデューサを置いてダンジョンに潜るのか……」

「自分以外の人が無理やり家に入ろうとしたら食べて良いと伝えています」

「お前それこの国の偉い人とかが来たらどうするんだよ!?」


噂の発生から更に1週間が経過し、狩りがワンパターンになって来たのと、スネーク君が今ダンジョンと下水道の連結工事を行っているため、今日はムーとスネーク君をお留守番させてダンジョンに潜る。戦争なんて知らん。なんかDランク以下の冒険者からも募兵しているのは見かけたけどそれで従軍するなら最初から素直にAランク冒険者へ昇格しているんだよ。


そもそもこっちから攻める戦争だし、まず間違いなくゲームのストーリーだろうから負けることはないはず。まあ仮にストーリー的なものがなかったとして、負けたとしても自分が失うものはない。失わせる方法がないからだ。


というかもうこの街の下水道はスーの一族で溢れかえっているから自分と敵対するなら占領するのに相当な戦力が必要だろう。この街に元々いたスライム達は駆逐され、全部スー一族とスーの経験値になった。


というわけで、安心してダンジョンに潜る。今日は65階での狩りを少しして、66階に突入してマッピングをしていこうかな。本当、ダンジョンの20階層毎のパターンが切り替わるとか聞いてないし、一からマッピングしないといけないんだけど滅茶苦茶面倒で辛い。


そして66階の敵は65階と同様にメタルなミノタウロスが出る上、スキュラが出て来た。上半身は美女の魔物娘である。経験上、わりと厄介な能力を持っていることが多い人型を保有する魔物だ。


このスキュラも例に漏れず、下半身が色々と変化するしそもそも巨体なので対処が面倒。……何でタコっぽい足が急に犬の頭と足になるんだ。まあルーとローが一刀両断していくし、数が多い場合はスーがレーザーを発射するから抵抗はなくサクサクマッピングが出来る。


本日はスネーク君がいないため、キューの背中に乗って移動。相変わらず自分で移動しない主人だけど誰かが傍にいる方が被弾確率減るし仕方ない。一応、狐の身体のまま大きくなるぐらいの変化は使えるようで、乗り心地の良い狐である。尻尾が良い感じに椅子の背もたれ部分になっているからスネーク君より楽かも。あっちはあっちで尻尾使って支えてくれるからありがたいんだけど。


『ムーからの伝言じゃ。どうやらあの宰相がまた来たようなのじゃ』

「あー、追い返しとけ」


今回ムーをお留守番した最大の理由として、キューとムーが魔法を介して連絡を取り合えるためだ。これで自宅付近や冒険者ギルドで何があったのかすぐに分かるし、その対応も可能。


なおキューは一方的に頭の中に声を響かせる感じなのに対し、ムーは魔力に声を乗せて届けるイメージ。キューからは誰にでも連絡出来るけど、ムーの遠距離通話は解析が出来るキューにしか分からない。


『どうやら東のヴィランク帝国に攻め入った瞬間、南からリャン帝国が攻め入って来たようじゃな』

「いや流石にその攻撃は予想しているだろうから、備えに軍隊を南に置いてるんじゃない?」

『……そのような備えはしておらぬようじゃな?』

「……アホかな?」


あの「二度と関わらんわ」みたいなことを言っていた暴力宰相が家にやってきた理由は、この街が攻められるかららしいけど、自国防衛の戦力を残さず敵国に攻め入るってマジ?複数の国と国境を接しているのに杜撰な戦略立てて戦争する国とか滅びた方がマシな気がするんだけど。


しかも南から来る軍隊の規模が5000人規模らしいけどこの街の守備隊が300人しかいないって何を警戒して300人置いているんだよ。全員老人って天下り先か何かかな?もう何かムーからの情報をシャットダウンしたいけど酷すぎて聞きたくなる不具合が発生している。……いやこれどう頑張っても陥落するんじゃないかなあ?

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