第20話 封魔半蔵
当初ダンジョンアタックの説明と進行は封魔半蔵というキャラが務める予定でした。しかし、唐突に出てきたキャラクターが集団の中心に居座っている違和感が凄かったのと、ケビンのしっかり者のキャラを強めるためにケビンが解説することになりました。以下出番だけ抜粋。
「ルールヲ説明シヨウ」
学園ギルドに12人の生徒が集まっている。
真央。詩織。玄咲。シャルナ。クゥ。コスモ。
ケビン。マイケル。リュート。司。アカネ。マルタ。
そしてダンジョン部の顧問の封魔半蔵。ダンジョンアタックの立会人だ。黒に金の混じった黒い忍者所属に身を包んだ正体不明の教師だ。首には赤いマフラー。隠密性を投げ捨てている。元プロ探索者でキャラ付けのために忍者装束をしていたのがいつの間にか癖になってしまった男だ。
半蔵がルールを確認の意味も籠めて解説する。
「ルールハ簡単ダ。交互ニダンジョンニ潜リ、帰還マデノタイムガ早イ方ガ勝チ。対象階層は30~40階。制限時間ハ3時間。ダンジョンアタックハ配信機器デ配信サレル。ソレダケダ」
「分かりやすくていいじゃねぇか。要はあいつらより早くクリアすりゃいいってことだろ」
「ソウダナ」
挑発的な目つきで玄咲達を見る司。玄咲は尋ねた。
「なぜダンジョン部に」
「え? お前の泣きっ面が見てぇから」
「……そうか」
遠慮はいらない。玄咲は改めてそう思った。
「公平ヲ期スタメ、後半ノアタック組ハ別室デ待期シテモラウ。前半組ノ情報ノ遮断ダ。デハ早速始メヨウ。ソノ前ニ光ヶ崎リュート。チョット来イ」
「はい」
半蔵はリュートに丸い物体を近づけた。中央のレンズをリュートに近づける。
「ハイ、チーズ」
無音。
「OK。登録完了。スイッチON」
フワ。
丸い物体が浮遊しリュートを追尾するようになる。驚くリュートに半蔵が解説する。
「ソレハ配信機器。後ロカラオ前ヲストーカーシダンジョンアタックノ様子ヲ配信・録画スル。恥ズカシイ姿ハ晒サナイ用ニナ」
「はい。元からそのつもりです」
「イイ返事ダ。ソレデハ初メテ行コウカ! ダンジョンアタック開始ダ!」
玄咲達は別室に移動する。リュート達は転移魔法陣へ。ケビン、マイケル、真央、詩織の4人は選手ではないため観客席に移動した。
~ダンジョンアタック中略~
学園ギルド。
帰還したリュートたちが玄咲たちと話をしている。
「終わったよ。タイムは2時間10分。次は君たちの番だ」
「……想定より早いな」
「はっははは! 俺様が大活躍だったからな!」
「ああ。司がいなかったらこのタイムは出せなかった。モンスター討伐で張り合っていたらいつも以上の力が出てさ」
「あ、そういえば討伐数勝負どうなった? 途中で数えるの忘れちまった」
「リュートが150で司が180なの」
「マルタ、お前よく数えてんな……しかし、俺の勝ちか……ふふ」
司がリュートの叩き笑う。
「リュート、お前の負けで、俺の勝ちだ。ハハハハハ! もっと精進しなさい!」
「ああ。次の課題が見つかった。君のお陰だ。ありがとう司。しばらくはダンジョンに籠もって攻撃速度の強化に努めよう。僕もまだまだだな……」
「お、おう……」
リュートは司の煽りに全く気づかない。アカネがリュートの後方でため息をつき、それから微笑まし気に笑った。
会話が一段落したと見た半蔵が、8人に話しかける。
「見テタゾ。流石金ノ世代ダ。2年生デモアレダケノタイムヲ出セル生徒ハ限ラレル。天晴!」
「ありがとうございます」
リュートが4人を代表して礼を返す。半蔵はリュートの肩を叩いてサムズアップした。
「サテ、次ハオ前達ノ番ダ。ソノ前ニ」
半蔵がリュート達の配信機器を回収し、何やら操作したあと、玄咲にそのレンズを向けた。
「ハイ、チーズ」
玄咲は精一杯笑った。子供の頃の記憶が反射的に蘇ったせいだ。
「うわ。気持ち悪ィ」
「ないの」
「人間ってあそこまで醜悪に笑えるのね……」
「……」
司とマルタとアカネの突っ込みに玄咲はしょげる。リュートだけが優しく笑っていた。玄咲はリュートのことがまた少し好きになった。半蔵は配信機器をセットしてから、玄咲の肩を叩きサムズアップ。
「笑顔は幸セノ証。イイ笑顔ダッタ」
「せ、先生……!」
「玄咲、早く、潜ろ」
「あ、ああ。それじゃ、シャルナ、クゥ、コスモ――」
玄咲は頭と表情を戦闘モードに切り替え、3人の先頭に立ち、転移魔法陣へと向かう。
「行くぞ。作戦通りに。大丈夫。あの程度のタイムなら俺たちが勝つ」
「うん」
「そうね。余裕」
「コスモ、全国デビューです!」
玄咲たちのダンジョンアタックが始まる。
~ダンジョンアタック中略~
「――同好会チームノタイムハ1時間40分。ダンジョン部チームノタイムハ2時間10分」
学園ギルド。封魔半蔵が両者のタイムを宣告する。半数ずつ居並ぶ12人の表情が両極端に分かれる。
「勝者、ダンジョン同好会!」
「――よしっ!」
真央は拳を握って吠えた。
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