第50話 夢幻牢メリー
(――最後、ちょっと予想が外れたな。まぁ、
「むー。今日二度目の出勤なの。もっと惰眠を貪らせるの」
「ごめんメリー。でも、助かったよ。ありがとう」
玄咲は今日2回目の召喚となるメリーに礼を言った。現在2人はピンク色の丸い結界の中にいる。平和で、快適な、一切の外敵から遮断された、お昼寝に最適な空間。メリーの力により、今この結界の中は一切の攻撃が届かない。睡眠に最適な空間を生み出す。ただそれだけのメリーの力により、世界から断絶されているから。
今のメリーに触れることは精霊神ですらできない。悪魔神バエルが最強の攻撃カードだとすれば、夢幻牢メリーは最強の防御カードだった。
「今度お昼寝に付き合うの。絶対なの。付き合ってくれないともう力貸してあげないの。約束なの」
「……いくらでも付き合うよ。君がいなければこのイベント、負けていた。約束する。絶対にだ」
「うん……それでいいの……」
枕を抱き締めて頷くパステルカラーの精霊。可愛い。流石人気投票2位なだけはあると思いながら、玄咲はゲームでのメリーに思いを馳せる。
(ゲームの対戦環境ではバエルを唯一防げるメリーとバエルの間でエスパーゲームが行われていたらしいな。使ったら終わりのバエルにEP消費1であらゆる攻撃を1ターン防ぐメリーをいかに相手の手をエスパーして当てるか。そんな歪な対戦環境が誕生していたらしい。ま、俺には一切縁のなかった話だけど。さて)
「――2枚目の、エレメンタル・カードだと……?」
「ああ。これが俺の切り札。悪いなリュート。結局また最後は精霊に頼ることになったが――」
玄咲が結界の外へと歩み出る。メリーが玄咲が通る瞬間にそこだけ断絶を解いたのだ。そして攻撃の反動で一時的な魔力麻痺状態にあるリュートへとカードを入れ替えながら接近し、そしてシュヴァルツ・ブリンガーの銃口を向けた。
「俺の勝ちだ――ダーク・アサルト・バレット」
戦場に、イベントの終了を決定づけるブザーの音が高らかに鳴り響いた。
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