第39話黒華ローズ目線
この世は退屈で無意味
一時の気の迷いでアイドルになった。
だけれど、そんな私の心の隙間は埋まらなかった。
退屈な日々に悶々とする日々。
そんな私の人生を変えてくれる出来事が起こった。
スキルの獲得。
この誘惑というスキルは女性には効かないが、男性を思うが儘にする事ができるというものだった。
正直同じグループのメンバーには辟易していた。
歌やダンスを頑張る暑苦しい姿勢にうんざりしていた。
もっと楽に生きればよい。努力など無駄。
ファンなどスキルの力でいくらでも作ることができたし、私の不真面目な態度が気に入らない運営がいれば魅惑し、思い通りにすれば良いだけの話だった。
そんな私の性格にこのスキルは合っていた。
俳優、モデル、ホスト等、世の女性が羨むイケメン達を侍らせた。
最初はイケメン達を跪かせる事に愉悦を覚えたが、直ぐ飽きた。
そんな時に知った剛力剛毅という男。
チャンネル登録者数1億人。
日本で1番影響力があり、世界でもトップクラスの影響力を持つ男。
そんな圧倒的な成功者を自分の思うが儘にできればどんなに愉快だろうと。
早速私は行動に移した。
探知能力を持つイケメンを使い彼の居場所を探らせた。
彼はダンガのメンバーと食事に来ていた。
綾瀬よつばと海藤咲良。
私が最も忌み嫌うメンバー。
歌やダンス、ファン対応を頑張れば必ずファンが応援してくれると信じている暑苦しいメンバー。
計画の邪魔になるという不安はあったが、ここまで来て止める事は出来ない。
私は彼に跪くように命令した。
だが、私のスキルは効かなかった。
何故、何故、何故、何故、何故、何故、何故、何故、何故、何故、何故、何故、何故、何故、何故、何故、何故、何故、何故、何故、何故、何故、何故、何故、何故、何故、何故、何故、何故、何故、何故、何故、何故、何故、何故、何故、何故、何故、何故―――。
今までこんなこと一度たりともなかった。
どんな高圧的な男性も奴隷にしてきた。
更には私のアイドルとしてのやり方に口を出してくる始末。
憎い、憎い、憎い、憎い、憎い、憎い、憎い、憎い、憎い、憎い、憎い、憎い、憎い、憎い、憎い、憎い、憎い、憎い、憎い、憎い、憎い、憎い、憎い、憎い、憎い、憎い、憎い、憎い、憎い、憎い、憎い、憎い、憎い、憎い、憎い、憎い、憎い、憎い、憎い―――。
このまま引き下がるのも癪なので、イケメン達に力尽くで彼を跪かせることにした。
だがそれすらも叶わない。
何故思い通りにならない……。
これまで全て欲しい物は手に入れてきた。
金、高級品、男、名声。
私の心の中にある思いが湧いてくる。
面白い。
簡単に手に入れられるものなど直ぐに飽きる。
初めて自分の思い通りにいかない男に巡り会って興味が湧いてきた。
彼を思い通りに出来ればどれだけ愉快な事か想像するだけで私の心は昂るのであった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます