第21話ダンジョンライブ社訪問
ワイは本日ダンジョンライブ本社を訪れている。
世界第4位の大企業。
ダンジョンが世界に姿を現すまでは日本企業が世界トップクラスになるなんて誰も想像していなかった。
それ以前は、アメリカ企業が上位を独占していた。
だが、ダンジョンが現れてからはダンジョン関係の企業が上位に食い込んできた。
配信サービス、装備、保険、エネルギー、運輸などである。
ダンジョン内に満ちている魔素を次世代エネルギーに転用する実験、それを使用した運輸、交通サービス等である。
ダンジョンライブ社は主に配信サービスを取り扱っている企業だが、逸早くダンジョンの可能性に気付いて一躍世界的企業に成長した。
その48階。
第五応接室にワイは通された。
以前打診されていた、ダンジョンライブ公式チャンネルで魔石をワイが使うという話をしに来た。
机を挟んだ向かいに座っているのは、島本麗香専務。
人を見下した態度の女性だ。
ワイの大嫌いな姉上と雰囲気が似ていることから、余り良い印象は持っていなかった。
「お久しぶりです。最近のご活躍はよく拝見しています」
「どうも、余り自分では活躍している実感はないのですが……それよりも先日の件ですが・……」
「ええ、考えていただけましたか?」
「その返答をする前に言いたい事があるんですけど……」
「ええ、お伺いします」
「何故シャドウが出現した後にダンジョンを立入禁止にしなかったのですか? 1回目は想定出来なかったとしても、2回目は出来ましたよね? 僕がいなかったら何人人が死んでたんですか!!! ダンジョンライブは配信サービスの他に、ダンジョンの運営、土地の所有権を持っているはずです。立入禁止にすることは出来たはずですよね⁉」
「貴方がそれを言います? シャドウが出現してからもダンジョンに立ち入ってましたよね? 女性と一緒に? 随分楽しそうでしたね。それに貴方が早く魔石を使うことを了承していただければ、広く配信者達に魔石が行き渡ってこの様な危険な事態は回避出来たはずでは?」
「それは……申し訳なく思っています……言い訳になってしまいますがあの時の自分はダンジョン攻略を始めたばかりのヒヨッコで、とても1億人も登録者のいるチャンネルに出演するなんて考えられなくて……」
「貴方の身辺調査をさせていただきました。元ニートなんですってね? 随分な御身分で」
「……返す言葉もありません……情けないです……でも、これ以上誰かが傷付くのは見たくないんです……」
「畏まりました。弊社と致しましても申し出を引き受けてくれるのは有難い事ですし。こちら契約書です」
契約書を差し出された。
そこに書かれていた金額は、ニートっだった頃のワイには1億回人生をやり直してもお目にかかれない金額だった。
「本当はお金なんていりませんけど、ここで揉めていてもまた話がややこしくなるだけなので、受け取らせていただきます……」
「では、当日のことは改めてご連絡させていただきます」
「はい、分かりました……」
こうしてワイはこれ以上誰かが傷付かないようダンジョンライブ公式チャンネルに出演することになった。
ここで魔石の安全性が確認されれば、広く配信者達に行き渡り、シャドウの脅威に怯えなくて済むだろう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます