第20話海藤姉弟
海藤家。
剛力と綾瀬がコラボする前日、姉弟は剛力剛毅について話し合っていた。
「アネキ、どうだった、アニキは? カッコよかっただろ?」
「全然……弱っちそうじゃない……それにアンタに兄はいないって何回も言ってるでしょ……」
「アニキは心の兄なんだよ! 弱そうにふるまっているのは周りを安心させるためだって。それにアネキも見ただろ? よつばさんを助けてる配信、最高なんだって!」
海藤弟は完全に剛力剛毅のことを崇拝していた。
当の本人は元ニートなのに……。
「そりゃ見たわよ……話題になってたし。同じグループのメンバーが下手したら死ぬかもしれない事態になって、助けてくれたんだから……感謝してる。でも、何か頼りなさそうだったし、人違いって今でも信じたい位よ……」
「でも、戦闘になったら人が変わる。アネキ言ってたじゃん、複数のモンスターを一瞬で蹴散らせるようになることが、アタシの夢だって」
海藤姉は、剛力のシャドウ戦のアーカイブを何度も見直した。
自分が頭に思い描いている理想的な戦闘。
大人が束になっても倒せないモンスターを一人で何百体と倒していた。
(何なのよ,アイツ……弱そうなくせしてアタシの理想とする複数モンスターを一瞬で葬り去るなんて芸当を当たり前にやってのけて……ちょっとカッコいいって思っちゃったじゃない……ちょっとだけ……)
「アネキもアニキのこと、もっと知れば好きになるかもよ?」
「ば、バカ言ってんじゃないわよ! そんなことあるわけないでしょ!」
(それによつばのことは裏切れない……あの娘最近口を開けば剛力、剛力って、そっち方面鈍感なアタシでも分かるっての……グループに入った当初怖そうって避けられてたアタシに仲良くしてくれたよつばは絶対に裏切れない)
「そういや、アニキとよつばさんコラボするんだって?」
「そうね。2人のサポートするわよ。アタシらも同じフロアで付かず離れずの距離を取って、厄介な敵を倒すわよ!」
「了解! 2人のデート邪魔させるわけにはいかねえからな」
「アンタ、相変わらずバカね……」
「うっせハゲ!」
「ハゲてないっての……」
海藤姉弟は配信者界隈でも屈指の実力を誇る。
この2人より登録者が多い配信者は結構いるが、それらより実力は上だ。
その2人をもってしても手に負えない事態が迫ってきていた……。
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