第19話初コラボ 綾瀬よつば目線

 初コラボ。

 楽しみ過ぎて自然と笑顔になってしまう。


 いつも通り、確実に、堅実に私らしく戦えている。

 同じフロアには、咲良と快斗君がいて、強敵を倒してくれている。

 勿論横にいる剛力さんは相変わらず強すぎる。


 以前助けてもらった時には、気が動転していて彼の強さはわからなかったけど、彼の過去の配信を何度も見返したけど、他の配信者とはレベルが違い過ぎた。

 咲良や、快斗君、他のダンガのメンバーにも強い子はいるけど、剛力さんの強さはずば抜けていた。


 目線の使い方、敵の攻撃からの避け方、常に最適な行動をとり続けていて、ついつい目線がいってしまう。

 だけど、自分のことにも集中していないといけない。


 急に剛力さんから『貴方のことは絶対に守ります。安心して下さい』なんて言われちゃった。

 そんなこと言うキャラでもないと思っていたので、不意を突かれてビックリしちゃったけど、とても嬉しかった。

 男性から『守る』なんて言われたの初めて……。


 浮かれていたわけではないけど、フロアの雰囲気が変わっていることに気付けなかった。

 シャドウが大量発生していた。

 剛力さんが、咲良と快斗君に負傷者を連れて逃げるように指示していた。

 2人は、なんとか逃げることが出来たけど、私たち2人はシャドウに囲まれていた。


 足が震える……。

 体が動かない……。

 死の恐怖が蘇ってくる……。


 剛力さんは凄い速度でシャドウを倒していく。

 でも、倒した数よりも、増殖する速度の方が速く全く数が減らない。

 彼の疲労は限界に見える……。


 私が弱音を吐くと、剛力さんは『絶対に諦めるな』って言ってくれた。

 剛力さんと一緒なら、ここで終わっても良いとさえ思ったが、彼は諦めていない。

 彼の手を握ると、力がよみがえってくるのが蘇ってくるのが見て取れた。

 どういう事……。


 彼は、大量に増殖してくるシャドウを何百体、何千体と倒した。

 倒し切った。

 助かったの……?


 怖いという感情はあったが、それ以上に幸せという感情が胸の中を占めていた。

 二度も私を助けてくれた人。

 守ってくれた人。

 命、夢、希望、何も奪われずに済んだ。


 自然と涙が零れ落ちてくる。

 今日という日を私は忘れない。

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