第17話怖い姉

 中級者ステージ66層。

 それが、コラボの舞台だ。


 上級者ステージの始まりである76層に近づくにつれ、モンスターは強くなってくる。

 66層ともなればかなりの強さだ。

 何故66層に決まったかというと、ワイと綾瀬さんのコラボはとても注目されており、初心者ステージで攻略を進めても視聴者は納得してくれず、中級者ステージの50台でも満足してくれそうにないからだ。


 何故、ワイと綾瀬さんのコラボが世間に知られたかというと、ダンジョンガールズでは、コラボをする時に運営に相談しないといけないらしく、公式チャンネルの配信スケジュールにワイが載っていたことから、そこから世間に知られてしまった。


 綾瀬さんのチャンネルだけじゃなく、ダンガ公式チャンネルでもワイの出演が放送されることになってしまう。

 いや、ワイ、ガールズちゃうで! 男やで!


 転移装置で65層まで移動して綾瀬さんと合流する。

 そこで見知った顔を見かける。


「ア~ニキ。お久しぶりッス。コラボ、メチャクチャ注目されてますね」


 海藤君だ。

 なんか、ツッコミどころいっぱいあるけど、取り合えず、


「僕は、君のお兄さんじゃないよ!」


「いいじゃないッスか。カカカ」


 なんでワイ、この金髪ピアスヤンキーに懐かれてるんだ……。


「快斗君、こんにちは。お久しぶりですね」


「よつばさん、ちはッス! アネキがいつもお世話になってます」


 目の前の2人が挨拶しだした……。

 全然接点なさそうっていうか、別の生き物っぽいけど……。


「え? 2人は知り合い……?」


「な~に言ってるッスか? アニキ。アネキとよつばさんは同じグループじゃないですか? ダンガの四つ葉のクローバーと桜で」


「そうですよ、剛力さん、私の控室まで咲良が連れてきたことを忘れたんですか?」


 確かにあの目つきの悪さはどこかで見たことがあると思ったが、そうだったとは……。


「あの怖そうな女性が君のお姉さんとはねぇ……」


「ぎゃははははは! アニキ、最高ッス。確かに、確かに、アネキは怖いッス」


 と、海藤君は、自分の太ももをバシバシ叩いて笑い転げている。

 ワイは、怖そうとは言ったけど、怖いなんて言ってない。

 似て非なる者だよ、それは……。


「ちょっと、剛力さん、駄目ですよ。怖いなんて言っちゃ」


 と、綾瀬さんが小声で言いながら、後方を指さす。

 そこには、海藤姉がいた。

 距離は離れていたが、その表情はブチ切れていた。


 もう海藤姉には金輪際近づかないことにしよう……。

 そして、彼女の耳は地獄耳ということがわかった。

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