第16話シャドウ初遭遇時 綾瀬よつば目線
何事も確実に着実にこなしてきた。
学生時代は、勉強もスポーツも1番にはなれなかったけど、人にはよく褒められていた。
そんな時に出会ったのが、アイドルとダンジョン配信。
こんなキラキラしたステージで歌いたい、踊りたい。
人気の配信者みたいにカッコよく戦いたい。
毎日のボイトレ、ダンスレッスン。
戦闘訓練、表情や、どう戦えばカッコよく映るのか研究もした。
そのおかげか登録者100万人以上に。
まだいける、もっといける、高みに。
それが驕りだった。
ダンガの運営さんからは、『君の良さは歌とダンスだよ』なんて言われてたけど、私は、それだけじゃないってことを証明したかった。
運営さんから、『最近、焦り過ぎじゃない? もうちょっと確実にやったら』って言われたけど、まだいける、人と一緒のことをやっていたら駄目なんだと自分に言い聞かせてた。
その日は、いつにも増して、もう1フロア、もう1フロアと進んだ。
モンスターが強くなってきていることには気付いていたけど、焦りからかどんどん先に進んでいた。
気付けばモンスターに囲まれていた。
攻撃は全く効かず、体力は尽き、剣を振る腕はもう上がらなくなっていた。
死。
何時かはやってくるものだとわかっているけど、今、この瞬間なの……。
やりたいこと、叶えたい夢いっぱいあるのに、ここまでなの……。
最期にダンガのみんなと会いたい、お父さんとお母さんに会いたい。
そんなことも叶えられそうもないことを悟った時、奇跡は起きた。
少し眠たそうな目をした、パーマ? 天然パーマ? の男性が目の前にいた。
その男性は、魔法? よくわからないけど、不思議な力を使ってモンスターを一網打尽にした。
恐怖状態だったっていうのもあったけど、その男性を見ていると、不思議と胸がドキドキした。
命を助けていただいたことに、お礼を言うけれど、どんなに言っても言い足りない……。
その男性は、戦闘が終わるとそそくさと帰って行こうとしている。
礼など要らぬって雰囲気だったわ、時代劇みたいでカッコいい。
呼び止めても、『ご飯の時間だから』って帰ってしまった……。
もう一度会いたいな、あの人と……
どんな形でもいいから。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます