第8話 にゃん歴979年9月②

 ギルモア大佐に続いて入室した部屋には、5人の男女が集まっていた。当たり前だが全員僕よりも年上のはずだが、弱冠一名だけ僕と同年か年下に見える女の子がいた。僕が緊張しているのを見て、大佐が軽く全員の経歴を教えてくれた。


 まずは、部隊の副隊長でもある、ソフィア=ブルーバーグ少尉。白髪と青目が美しいスレンダー美人さんだ。昨年士官学部を優秀な成績で卒業しており、対外的な所属は作戦本部である。部隊では作戦立案及び狙撃任務などを担当するとのこと。基本は帝都の軍本部に勤務しており今回の顔合わせのためにこちらに来ているとのことであった。


 次は、僕と同じ歳に見えた、フランソワ技術少尉。彼女は茶髪緑目の幼児体型の女性で、歳は僕の一つ上だった。しかし、彼女は弱冠15歳ですでに学園で学ぶことなないとされて、そのまま軍の技術開発研究所で研究室が与えられており動力エネルギーに関しての博士であった。この部隊では、新兵器や道具の評価テストや整備を行い、作戦行動中は本部からオペレーターを担当するとのこと。彼女も基本は帝都の研究所にいるとのことであった。


 続いて紹介されたのはアルベルト軍曹。がっしり体型で長身のイケメンであった。歳は部隊最年長の21歳であり、もともと教導隊に所属していたらしいく、部隊でも実働隊であり、基本僕とペア組むことが多くなるとのことであった。アルバート兄さんと同じ名前の由来だが読み方が違うことから他国の出身者であることと、ファミリーネームがないから平民出身なのか、はたまた理由があって隠しているのかのどちらかである。他国出身ということは後者である可能性が高いと思われた。


 その次は、ヘイスティング曹長。彼の年齢は19歳だが、その他の情報については情報部所属ということもあり秘匿されているとのこと。なので、本名や本当の階級はわからない。部隊での担当は、密偵としての仕事全般とのことであった。作戦行動に関しての扱いは遊撃であり、主に僕たちのペアのバックアップや後方攪乱であるとのことであった。そうそう、彼は印象に残りにくいが、よく見るとイケメンであった。


 最後は、キャサリン伍長。彼女は、情報部でのヘイスティング曹長の部下であり、曹長と同じく、009部隊に派遣された人員である。彼女の技能は世界的にも珍しく、動力エネルギーを使用した情報伝達装置のやり取りを盗み見できたり改ざんしたりできるそうだ。各国の軍事機密に関する最新技術なので存在自体秘匿されており009部隊の隊員と一部の人以外に口外してはならないとのことであった。もちろん彼女の部隊委での担当はこの技能に関することで、他にはヘイスティング曹長の手が届かないところの仕事を手伝うこととなっている。彼女の年は18歳で、その他はヘイスティング曹長と同じく不明だが金髪青目で、女性が憧れるだろう素晴らしい体系をした可愛らしい系の美人であった。ヘイスティング曹長とキャサリン伍長は、所属的には情報部で帝都務めであるが任務によっていろいろな場所に赴くため基本的には所在不明であった。


 実は、特部隊自体は帝都の近くにある基地に本部があり009部隊の兵舎もそこに存在しているとのことであった。半数以上の人が帝都務めである為本来ならそこで顔合わせ等行えば問題ないように感じたが、この基地で行った理由に対しては僕に起因するものであった。


 曰く、僕は学生でありながらレイ家の貴族の務めの為に軍に入隊している。しかし、レイ家は長年軍役につけていない為相応のペナルティがあり対外的には僕は国境任務に配属されたしがない兵士である。特務部隊の中でも009部隊は比較的に秘匿される側であるため、帝都とこの基地まで行き来すると相応のコストや所属隊員が他にばれる危険性が高い。それに、学生時代の3年は国境警備勤務とするとちょうどよい長さであり、卒業後に本部のある基地に戻ればいいではないかとなった。009部隊の任務エリアは世界中ではあるが、幸い現在は合衆国とは停戦状態にあり他国も大人しいため急を要することもない。ならば一番問題がありそうな合衆国との国境付近に実働部隊がいるのは都合がいい。この部隊での実働部隊とは、僕とアルベルト軍曹である。アルベルト軍曹は辞令でこの基地の新兵(僕も含む)の教練として派遣された。フランソワ少尉は、(僕を運んできた)新型輸送機の実地テストに同行して来ている。ソフィア少尉は、ギルモア大佐に同行して基地の視察任務。ヘイスティング曹長とキャサリン伍長はもともと情報部として所在は不明である。

 ここまでくると、ここに集まったのもなるほどなと思った。むしろ、僕の為に皆さんにご足労いただき、申し訳ないとさえ思った。


 顔合わせなどを終えたら帝都勤めの人は、輸送機で帝都に戻り各々の部署へ。情報部の2人はこのまま次の任務地に向かうそうである。ここに残るのは、僕とアルベルト軍曹であり、軍曹の指導による訓練や国境勤務の通常任務をこなしつつ特務部隊としての任務も行うとのことであった。009部隊の任務は主にこのあたりのエリアが振られるそうである。


 ふと僕は思った。この部隊の顔面偏差値は異様に高くここに不細工ではないと思うが普通の男子学生が混じるのは何の罰ゲームなのか。そもそも年上で美男美女ばかりだとどう話しかければいいのか。しかもこの部隊の隊長は僕である。果たして僕にこの部隊がまとめられるのだろうか。この時僕は、隊員のインパクトが強かったため気づかなかったことがある。それは、3年間この地で激務が待っているとしたのなら、はたして学園で過ごす時間があるのだろうか?ということを。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る