第10話 プリクラ
放課後となり、俺と美緒は一緒に帰っている。
帰りになると美緒は俺に抱き着く。
「えへへ」
「本当に2人になったら、包み隠さないな」
「まあね」
学校にいる間は、抱き着いたりはしていたが静かなものだった。
「それでね、昼の話なんだけど」
「昼って…。ああ、お揃いのものの話か」
「うん」
「何が欲しいんだ?」
「指輪」
「思ったより普通だった」
「そう?。だってお母さんとお父さんを見てると良いなって思って」
「なるほどな。まあ良いけど高いのは俺には無理だぞ」
「私が買うから良い」
「あのな、それなら俺の気が済まないんだよ」
「私の気も済まない」
「そうは言ってもな」
困ったものだ。
美緒は、俺の関わることとなったら頑固になる。
「分かったよ…。ここは俺が折れるよ。だけど、そういうのは買う前に言えよ。サプライズとかはいらないから」
「えー」
「えーじゃない。美緒は俺の為になると金遣いが荒くなるからな」
「私だって考えてお金を使ってる。ダーリンに貢いでるだけ」
「それが駄目だって言ってんの」
「どうして?」
「自分の為に使えよ」
「私の為にもダーリンい貢でるよ?」
「はぁ」
「というより、あんまり聞き分け悪いと命令しちゃうよ?」
「うっ」
そう言われると俺にはどうしようもできない。
「それに、私だって命令ばかりしたくないの。せっかくの夫婦だから、対等で居たいの」
「分かってるよ。俺だって美緒とは対等でいたい」
「うん、考えが同じで良かった」
もう諦めるか。
「それで今日はどうするんだ?。真っすぐ帰るか?」
「えっとね…」
「どこか行きたいとこあるのか?」
「デートしたい」
「デート?」
「うん、デート」
神門と昼にそんな話をしてたから、影響されたのか。
まあ良いだろう。
「良いよ」
「本当!?」
「ああ」
「やった」
本当にこういう姿を見てると吸血鬼ってことを忘れてしまう。
「じゃあ行きたいとこあるから行こ~」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「ゲーセン?」
「うん」
俺たちはいまゲームセンターに来ていた。
美緒が行きたかった場所はどうやらここらしい。
「何故にここ?」
「プリクラとか撮ってみたくて」
「なるほど」
確かに彼氏彼女の関係なら撮りたいと思うのも当然か。
「ほら入ろ」
「ああ」
ゲーセンの中に入り、プリクラ機が置いてある場所に向かう。
すると、そこには女子が多かった。
「ねぇダーリン」
「はい」
「他の女を見ちゃ駄目」
「言うと思ったよ…」
これ以上、美緒を刺激しないためにも従うとしよう。
さもなくば、俺の身が危ない。
美緒は何故かカッターを鞄に忍ばせてるからな。
ブラックライトとかで照らしたら血痕とかついてるだろ…。
まあついてたとしても彼女自身の血だろうけど。
「ねぇ、あれで撮ろ」
「良いよ」
正直、俺は一緒にプリクラを撮るような友達がいない。
どれにどんな機能があるのか全くもって分からん。
「ふふふ~ん」
「えらく上機嫌だな」
「だってダーリンと一緒に写真に写れるなんて嬉しいだもん」
「…盗撮とかしてないよな?」
「…へへへ♡」
確定だ。
こいつ盗撮してる。
「だってダーリンが体育で頑張ってるのとか、授業のノートを真面目に書いてる姿とか、授業中眠たくなって寝落ちしてる姿とかカッコいいんだもん」
「ああそう…」
美緒の感性を理解できる日が来るのだろうか分からん。
「まあ良い、とりあえず撮ろうぜ」
「うん!」
機械のアナウンスに従い、撮影を始める。
「美緒はどういうのを撮りたいんだ?」
「えっとね、ハグとキスと吸血してる姿」
「何でだろう、最後のせいでキスが薄れるな」
「ほらほら、時間ないからするよ」
「分かったよ」
美緒の言う通りに撮影を始める。
最初はハグだったな。
「ぎゅ~」
「はいはい」
美緒は俺の体に抱き着く。
そして、シャッター音が鳴る。
「次は、キスだよ。ダーリンからしてね」
「は?」
「もちろん口にしてね」
「待て待て」
「時間無いから早くね」
「うっ」
ぐだぐだ考えてる暇はなさそうだ。
仕方ない。
ここは勢いでするしかない!
「んっ♡」
俺は美緒にキスをする。
「ぷはぁ♡蕩けそう♡」
「やばいだろそれ」
「ほら、最後だよ」
「分かってるよ」
仕方ない。
血を吸いやすいように首筋を差し出す。
「偉い偉い」
「いいから、吸うんだろ?」
「うん!」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
撮影を終え、加工を始める。
俺は別に加工とかあまり分からないというか興味が無いから美緒に任せたが、美緒もあまり加工とかしなかった。
「私はありのままのダーリンが好きだから、加工なんてしなくて良いの」
「それプリクラで撮る必要無くね?」
プリクラで撮ったら、無加工なんて意味無いだろ。
前提が間違ってるだろ…。
「えへへ♡」
「だらしない顔になってるぞ」
「周りに人居ないから良いでしょ」
「はいはい」
本当によく分からんやつだな。
「じゃあ帰ろ」
「そうだな」
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