第9話 神たちのランチタイム
「黒神」
「お、おお神門」
「何があった?」
「い、色々…?」
「まあ色々あっただろうな」
今俺は、1年2組の教室にいる。
そして自分の席についているのだが、俺の膝の上に美緒が俺と向きあうように座っている。
「まあいいや、結局昨日はどうなった?」
「こうなった」
「は?」
「手紙の差出人がここにいる」
「白神さんが手紙の差出人?」
「ああ」
「それで、告白されたと」
「まあ色々告白された」
「それでOKしたと」
「承諾はしたな」
「なるほど。それならおめでとう」
「ありがとう」
神門は、納得したのか席に着く。
とは言っても、俺の隣なのだが。
「そういえば、神門。テスト勉強してる?」
「一応」
「彼女と勉強してんの?」
「まあな。あいつが一緒に勉強したいって言うから」
「なるほどな、彼女さんは頭良いのか?」
「俺よりもはるかにな」
「お前よりも頭良いのかよ。すげぇな」
「黒神の上に座ってる人も俺よりも頭良いぞ」
「ああ、確かに」
静かに俺に抱き着いている美緒は学年1位の成績だ。
噂によれば、全教科満点なのだが、美緒の事だ本当の事なのだろう。
というより、本当に教室じゃ静かだな。
「(ぎゅ~)」
「はいはい」
美緒は俺の耳元で囁いた。
どうやら抱きしめて欲しいようだ。
それなら彼女に従うとしよう。
「なんというか2人ってお似合いだな」
「そうか?」
「なんか勘だけど、そんな気がする」
「お前が言うならそうなんだろうな」
神門の勘はよく当たる。
こいつは、クールな印象を持つが、本気を出したら運動や勉強なんて容易いものだ。
この前の体育祭の時なんて、俺と神門はリレーに出場したが、こいつのおかげでぶっちぎりの1位だった。
「というか、もうすぐホームルームだぞ。いつまでそうしてるつもりなんだ?」
「俺に聞くなよ」
「お前しかいないだろ」
「美緒もいるだろ」
「お前の彼女さんは、他の男よりお前と話したいのだろ?だからお前に聞く」
「分かったよ。美緒、もうすぐホームルームだぞ」
「ん…」
美緒は微動だにしなかった。
「み、美緒?」
「はむっ♡」
「いっ!!」
美緒が俺の血を吸い始めた。
まだお昼じゃねぇぞ!!
「(朝は1回だけなんて私言ってないよ?)」
このやろう。
屁理屈にもほどがあるだろ!
「じゃ…」
俺の血を飲んで、気が済んだのか美緒は自分の席に戻って行った。
「何だキスマークでもつけられたのか?」
「そんなとこだ」
「へぇ~。愛されてるねぇ~」
「みたいだな」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
午前中の授業が終わった。
ようやく昼休みだ。
というか休み時間の度に美緒が俺の膝の上に向き合うように座ったかと思ったら血を吸いに来た。
入学してまだ1か月そこらで、クラスのみんなも仲の良いメンツが出来始めた頃のため、俺と美緒の話をしているのが聞こえてくる。
その度に、神門が面白いもの見てるかのように笑っている。
「流石に目立ちすぎだろ…」
「見せつけてるんじゃないのか?」
「そんな訳ねぇだろ」
俺は、神門とそんな話をしながら弁当を取り出す。
この弁当も美緒が作ってくれた。
というか…。
「美緒は…」
「何?」
「おう、丁度いいや。どうせ一緒に食べるんだろ」
「うん」
「2人っきりで食べるか?」
「別に2人だけじゃなくても良い」
「そうか?じゃあ神門も一緒で良いか?」
「うん」
昨日の昼までは神門と食べてたからな。
突然、神門を放っておく訳にもいかない。
「俺も良いのか?」
「美緒の許可も出たからな。別に良いぞ」
「すまんな」
机をくっつけて弁当を広げる。
「なぁ神門」
「何だ?」
「お前って彼女とデートとかしてんの?」
「してる」
「どこ行くんだ?」
「喫茶店と…スポーツ用品店」
「…デートか?」
「デートだろ」
「デートか」
「デートだ」
まあデートも人それぞれか。
お互い行きたいところに行く。
それだけで良いのか。
勉強になるなぁ。
「2人って昨日から付き合い始めたんだろ?。放課後デートとかしたのか?」
「…お家デートをしたかな」
「誰の家?」
「美緒の」
「すご」
その後一緒に住むこととなったとかは流石に言えない。
「まあデートなんて人それぞれだからな。恋人同士が決めることだ。付き合い方もそうだしペースだって人それぞれだ」
「なるほどなぁ」
「付き合っていくうちにお互いの好きな所を確認していくもんだ」
「かっけぇ」
「だろ?」
こいつ彼女がいる理由が分かった気がした。
というか、めちゃくちゃ静かだけど美緒は…。
「(もぐもぐもぐ…)」
めっちゃご飯食べてた。
「あと、お揃いのものを身に着けるのもいいかもだぞ?」
「お揃いのものか…」
何が良いだろうと美緒を見てみたら、箸が止まっていた。
この話に反応したのか…。
何かお揃いのものが欲しいのか。
「神門は、何かお揃いのもの身に着けてるのか?」
「ほぼ全部」
「は?」
「俺が持ってるものは彼女も持ってる」
「すご」
いや、凄いの一言に尽きる。
何、俺が持ってるものは彼女も持ってるって。
その台詞かっけぇな。
「お前も白神さんに何かプレゼントしてあげたら?」
「そうだな。美緒何か欲しいものあるか?あったら帰りにでも教えて」
「うん」
「いや、サプライズ感ゼロか」
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