第3話 お家デート

今、俺は吸血鬼と人間のハーフと共に帰っている。

屋上で色んなことがあった。

突然、血肉が欲しいと言われ、血を吸われ、白神美緒の眷属となった。


「なぁ美緒」

「なぁにダーリン♡」

「俺は、お前の眷属になったんだよな?」

「そうだよ♡」

「ってことは、俺も吸血鬼なのか?」

「そうだよー!!」

「あっそう」


俺は、よく分からんうちに人間をやめてたようだ。

って、あれ???


「吸血鬼って日光に弱いとか無いのか?」

「日焼けは嫌だよー」

「誰もそんな話はしてねぇよ」

「ふふっ、冗談だよ。さっきも言ったけど、私は人間と吸血鬼のハーフなの。吸血も最低限で大丈夫だし、日光も日焼けするなぁって程度だよ。食事は普通の人間と一緒だよ」

「それなら日常に支障は出ないか」

「うん!」


もうなんか色々面倒くさくなってきた。

考えるのだる。

もうやめた。


「そうそう、ダーリンは私を受けいれば良いの」

「はいはい」


2人並んで、帰り道を歩く。

今朝まで、予想もしていなかった光景だ。


「なぁ」

「んー?」

「ダーリン呼びやめない?めちゃくちゃ恥ずかしいんだけど」

「嫌だ」

「えぇ…」

「ダーリンはダーリンだから」

「せめて名前呼びとかは…?」

「嫌だ」

「そうですか…」


このままダーリン呼びか…。


「ねぇダーリン」

「何だ?」

「これから私の家に来ない?」

「嫌だ」

「へぇ…。『命令よ、これから私の家に来なさい』」

「ふにゅっ!!」


体が俺の意に反して、動き出す。


「ダーリンとお家デート♡」

「あぁもう、分かったよ。行くよ」

「そ…。でも、結局行くならこのままでも良いよね」

「この関係はフェアじゃねぇ気がする…」

「当たり前でしょ。ダーリンは、私の眷属だから」

「そうだった…」

「それじゃ行こ♡」


美緒は俺の右腕にしがみ付き、歩みを進める。

流されすぎな気がする…。




~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



「着いたよー」

「ああ…」


そうこうしている内に、着いてしまった。

彼女の家は、なんというか屋敷だった。


「お前の家、でかいな」

「まあ吸血鬼でもあるから」

「それは関係あるのか…?」

「あるよ、私のママ凄いんだから」

「そうなんだ」


おそらく美緒の母親が吸血鬼で、父親が人間なのだろう。


「じゃあ行こー」

「はいはい」


門を潜り、玄関の扉が開かれる。


「ただいまー」

「お邪魔します…」


恐る恐る、玄関に足を踏み入れる。


「「「「「お帰りなさい、お嬢様」」」」」


あっ、帰りたい。

俺の目の前に広がる光景。

それは、普通に生活してたら絶対に見ることが出来ない光景だった。

何せ、メイド服を着た女性が5人居たのだから…。


「あっそれでこの人は、私のダーリンだから」

「どうも…」

「「「「「…」」」」」


気まずい…。


「貴方がお嬢様の伴侶なのですね!?」

「はい?」


青みがかった長髪の女性が声高らかに問う。


「おお!!」

「とうとうお嬢様に春が!!」

「流石ですお嬢様!!」

「これは、ご主人様達にご報告しなければ!!」


残りのメイドの人たちも大盛り上がりだった。


「はいはい。みんな落ち着いて。ダーリンが驚いてるでしょ」

「はっ、失礼しました」

「「「「申し訳ございません」」」」

「うん、じゃあ私たちはお父さんとお母さんに報告しに行くから。2人ともいるよね?」

「はい、ご主人様方は、部屋に居られます」

「じゃあ行ってくるね。ほらダーリンも行くよ」

「あ、ああ…」


まだ状況が呑み込めない。

整理しようとするも次々に情報が押し寄せてくる。

ここには、常識は要らないのか…。


「広いな…」

「まあそうかもね。お母さんの所有している屋敷なんだ」

「ああ、そう…」


固定資産税いくらなんだろうな~。

ああいうメイドの人ってお給料良いんだろうなぁ~。

こんな事を考えてないと頭がパンクしそうだ。


「着いたよ、客間」

「わー(棒読み)」


帰りたい。

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