第?話 どこか遠くの何かの話

 ――どこまでも続く漆黒の闇、そこに一つの光があった。


 その光は時に動物のように、または植物のように、何かの図形や文字のようにも見え、常にその形を変えていた。


 それは思考していた。


 ――自分が生み出した世界はどうして思い通りにいかないのだろうか。


 これまでも様々な世界を作り、数多の生命を繁栄させては全てを壊し、何度も作り直した。


 作りたかったのは、ずっと見ていたくなるような世界。


 それは常に変化と進化を繰り返し、一つの世界から無数の世界が生まれるような、こちらの想像を超えてくるような、そんな世界だ。


 ――今回の世界も失敗だ。


 そうしてまた一つの世界が消滅し、新たな世界が生まれる。


 世界を作り直した回数はもう数えていない。


 果ての無い試行錯誤の末、遂にある生物を作り出すことに成功した。


 それは、”どんな生物にも進化できる生物”だった。


 その生物の誕生が、理想の世界を作り出す最初の一歩だった――。

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