第5話 ようこそダンジョン
――階段を降り始めてどれくらいが経っただろうか、地上を照らすだけでなく、時間経過まで教えてくれていた太陽を恋しく思ってしまう。
この階段を降り始めて数分、大きな地響きとともに入り口が閉ざされてしまい、太陽の光が届かなくなったのだ。
しかし、内部はそれほど暗くはなかった。
原理は分からないが、天井や壁全体が薄く発光しているようで、視界の確保にはそれほど困らなかった。
というか、もしも真っ暗だったらどうしていたんだろう。
色々考えているようで大事な部分が抜けているような、そんな自分の思考力に呆れてしまう。
更に何度かの休憩を挟みながら階段を降り続け、体感で十時間程が経過した頃、ようやく階段の出口、突き当りの壁にできた四角い穴が見えた。
縦横二メートル程の四角い穴からは光が差し込んでおり、ここから外へと続いているのだと教えてくれているようだった。
階段を降りて穴をくぐった瞬間、薄暗い環境に長く居たせいか視界が真っ白になって何も見えなくなった。
何故、地下なのにこれほど明るいのか、その疑問は徐々に慣れていく視界に映った光景が教えてくれた。
――青い空があった。
雲一つない澄み切った青い空、眼下には深い緑色の森が広がっており、その中には大きな湖もあった。遠くにはいくつかの山が立ち並び、空から降り注ぐ巨大な滝も見える。
空腹も喉の渇きも忘れ、その幻想的で美しい光景をただ眺めていた――。
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