第2話 ようこそ異世界
目が覚めると、そこは見渡す限りの草原だった。
青々しく生い茂る草が太陽の光をキラキラと反射し、時折吹き抜ける風の輪郭を露わにしている。
空を見上げれば、地上を燦燦と照らす太陽と雲一つない青い空が広がっていた。
――あぁ、僕は異世界に転生したのか。
そう思う根拠は無いが、自分が前世での人生を何らかの理由で終え、この世界に転生したのだという強い確信があった。理由は分からないが、自分が転生した事に関しての疑問を一切感じないのだった。
そして、そんな疑問を丁寧に紐解く余裕も無いほど、男の脳内は疑問だらけだった。
男には前世の記憶が無かった。自分の名前は疎か、性格や年齢、自分に関しての一切の記憶、思い出と呼べる物が無いのである。
分からないことだらけで混線した思考を解くため、男はとりあえず草原を歩く事にした。
多分前世の自分も、考え事をする時にはこうして歩いていたんだろう、そんな気がするのだ。
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