第24話 マツエク命!

そしてマツエクサロン。

ホットビューラー、マスカラ、ツケマツ、マスカラ地下など、麗奈は睫毛にかなりの負担を掛けていた。

 弱々しく細く短いボロボロの睫毛・・・元通りになって! お願い! マツエクサロンでは、「もうまつ毛が弱っていてエクステを付けられませんね。」

「早々にマツ育をしましょうね?」

 不思議な事にサロンで提示されたマツ育サプリには違和感がなく、1ヶ月分の代金を支払って帰宅した。

 エクステを外したら心許ない・・・。

レディースマンションの玄関ドアを開けて下駄箱に向かいアプローチに立つ。

 等身大のミラーに写る麗奈はセミロングストレート、白く細い首にサンローランのスカーフを巻いていた。

 紺のデニムに似合う様に、白のデッキシューズ、薄いブルーのストライプの入ったトレーナーにピンクの春コートを羽織っていた。

 真っ直ぐ前を向いて顔面を見た。

「ブサイク。」でも、私はアダルトコンパニオンじゃない。

 身勝手で我侭な患者さんに癒しを与えて上げられたらって・・・、思って接して来たのに・・・。

 ミーティング後のスタッフ休憩室にて・・・。

 庄屋三咲、内並木麗奈が休憩中に会話を持っていた。

 「麗奈がどう思って接してもリンクしないんだよ?」

「淡々と職責を全うしてりゃあトラブルに巻き込まれてもこっちが正等なんだ!」先輩ナースの言葉を思い出していた。

「事を有利に運ぶ為にはキャパを超えた忖度なんてしちゃいけないんだ?」

「そんなに技量がある訳でなし・・・。」

「優しくチクリと刺せばいいだけだけなんだよ?。」

「直に触られてないんだろ?軽犯罪だけどな?」両手を麗奈の顔まで翳して指を曲げて顔に近づけ、「鷲掴みされた訳じゃないんだろ?」

「どんな感じがした?」天然の疑問に違いなかった。

「嫌な気持ちだったか?」興味津々だと分かった。

「そうならそれがホントの気持ちだよ?」矢継ぎ早に畳み掛けるナオミにタジタジと麗奈は答えあぐねていた。

「あ、あの庄屋センパイ!?かなり、エッチな事聞くんですね?」両手をギュッと握り締め赤面していた麗奈に「なに赤くなってんだ?」ぶりっ子してんじゃねえ!と、言いそうになりながら気を取り留めて「声を出せなかったんだな? 女はいつも損な想いだけを強いられる。悔しいんだよ!」と、想いをぶちまけていた。

「ナースなんだからブリッコするんじゃない!」事務チェアの座面に胡座から左膝を立てて右肩をグイッと麗奈の方向へ入れて凄んで見せた。

「キャッ!恐いですう。遠山の金さんみたいですう・・・。」

「ダメだこりゃあ!」額と両目を掌で押さえた。

 先輩の言葉が人工衛星の様に麗奈の周りを回り続けていた・・・。

 フウーッ、と溜息を吐き、右目の睫を引っ張り左も引っ張る。

 ルルルルルー、スマホ画面を見た。

「あ、センパイ。」エントランスで立ったまま電話に出た。

「もしもしお疲れ様です、内並木です。」

「ハイ、今から夕飯です。」

「自炊なんですけどセンパイ食べに来ますか?」

「今日のメニューは酢豚ですよ?」

 ピンポーン! 速攻でインターホンが鳴り直ぐに玄関ドアが開いた。えっ? ぇえっ?

「さ、サキ先輩?」オマエの家の前で電話してたんだ!

 右足のニーハイブーツから玄関アプローチへ脚を踏み入れながら、「酢豚、大好きなんだよ麗奈ちゃん?」どうぞ、片づけてないですけど・・・。

 麗奈の自宅玄関のアプローチは、縦2メートル横×3メートルと縦横に広く、自転車を横にするだけで折り畳まずに収納が出来るスペースがあった。

 三咲くらいの高身長でも楽に立てたから全身スタンドミラーで映ったボディをチェックし始めた三咲に食事を促し、ダイニングに案内した。

 麗奈は心のモヤモヤを誰かに聞いてほしかった。が、適任者が見つからず北医療センター三階ナースセンターでの先輩看護師の言葉を思い出していたところだった。

「ち

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