第10話夢野町高校 ケンと出逢う
何も知らない同級生がケンの家族と共にはしゃいでいたが、ケンはこれまでの時系列を振り返れずには居られなかった。
出会いは軽音楽部の朝練が終わった夢の町商業高校(ゆめのまちしょうぎょうこうこう)2年5組の学級編成のあった翌朝の教室だった。
長身の庄屋三咲は登校が早く、至近距離でマジマジと正面から拝ませて貰った・・・。
実は勉強が出来るが、悪ぶったスケ番がタイプ!
一目惚れだった。口を半分開けフォークギターを抱えて見惚れていた。
この翌朝からケンは、朝イチで登校し、5組の教室で三咲を待ち伏せすると、偶然を装って「あ、オハヨウ、庄屋さん。」
殆どストーカー紛いのケンだった。
「チイース、…はよ・・・。」ドン!と、ピーナッツバッグを机に放り投げ椅子にドカッと腰を降ろす。
「で、誰?」見た事のないオ・マ・エと言っているようだった。
「ケンだよ、北条ケン(ほうじょうけん)!」椅子の背凭れを持ち乗馬の様な座り方で直美の気を引く。抜けるような青空、放射冷却現象の寒い朝だった。
「へぇー、ほうじょうマサコ?・・・センコーのところに朝刊あるから取ってこいや!?」明け透けな直美の欠点は胡麻すりが出来なかった事だ。
「ハイッ!イキマス。」こんなやり取りが早朝の始業前に行われていたが、ケンはケンで十分幸せだった。
思い出と忘却の狭間を去来していた。
ケンは何故フラれてしまったのか分からなかったからだ。
「普通のケンが好き
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