第二曲 第六楽章 ソウルブルー 北歌音駅東部線プラットホームの屋根にて
僕とソウルグリーンはフィーネントの攻撃を受け、屋根の
「どうした、貴様の力はそんな物なのか?」
フィーネントは余裕の笑みを浮かべながら僕等に歩み寄った。
「うっ…、なんて強さでしょう…。以前より強くなっている気がします…」
「それでもっ…、ソウルレッドが見つけてくれるまでの…、辛抱です…」
ソウルタクトで支えながら全身激痛だらけの重い身体を無理して持ち上げた。
本物のGの
これまでに数回フィーネントと戦ったが、やはりソウルグリーンの言う通り、以前よりもフィーネントの攻撃力が増していて、奴に傷一つ付けられない程かなりの強敵だ。右手から何発も放って来る魔弾を何とかソウルタクトで打ち返すことは出来ても、軌道修正して戻ってくるという最悪な状況だ。しかも僕等を
「やはり、ソウルレッドが相手で無いとつまらんな」
フィーネントは僕等に失望したかの様に
「念の為お尋ねしますが…、何故そこまでソウルレッドに…執着するんですか!?」
ソウルグリーンが痛苦を味わいながらフィーネントに
「何故ソウルレッドに執着するだと?理由はただ一つ!!奴は貴様等よりも
フィーネントは
「…成程、そういう事ですか」
僕はフィーネントの台詞を聞いて悟り、背後からやって来る一匹のGをさっと回避した。
「確かに彼は、僕達ソウルジャーの中で最も音楽魂が高いのかも知れません。僕とソウルグリーンの様な慎重派では無く、
「ああ見えても彼は周囲を引かせるくらい根っからのクラシックオタクなのです!!」
僕が呼号を上げた丁度その時、フィーネントの背後でソウルイエローとソウルピンクが撃ち落とされた。彼等はダルジーニと交戦中だったが、そちらもボロボロの状態で手こずっている様だ。
「失礼フィーネント、戦いはあまり好きでは無くてね、ついギリギリの所でこの二人を
ダルジーニは宙を浮きながらフィーネントに近寄り、
「構わん。ダルジーニはさっさと雑魚共の始末に専念しろ」
フィーネントは振り返りもせず返答し、本題を戻して静かに逆上しながら僕に質問した。
「ソウルレッドがオタクだからってどうした!?そんなどうしようも無い奴が我輩を倒そうとでも言うのか!?」
「そのどうしようもない奴とっ、その仲間がっ、貴方の様な
ソウルグリーンが次々と背後から近寄って来るGを
「ハッ!馬鹿め!!
フィーネントが嘲笑しながら悪態をついた途端、何処からか彼の背後を攻撃し命中した。振り返ると、ソウルイエローが
「…!!貴様!!」
「何とか俺等のチームワークで傷付ける事が出来たな!あ、あと姐さんが早くこの状況をどうにかしてくれって伝言が来たぞ。そっちもGの大群が家にまで入り込んで来そうだとよ」
ソウルイエローが息を切らしながら僕等の居る場所まで飛んで合流した。
「ソウルグリーン助かったよ!もうダメかと思った…」
ソウルピンクもこちらまで飛んでソウルグリーンに礼を言った。
「この腕に傷を負わせるとは…、どうやら我々もこの四人を
ダルジーニもフィーネントの元へ駆け付け、呼吸を整えた。対して僕等も一旦態勢を整え、四方八方見渡せる様に互いに背を向きながら再度身を構えた。
「んで?奴等にどこまで教えたの?あの馬鹿については」
ソウルイエローがさらりと僕に質問した。
「彼がクラオタである事までです。詳細は説明してません」
と、ソウルグリーンも簡略して返答した。
「だったら
ソウルピンクが彼の事を考えもせずに堂々と直言した。
「貴様等!お喋りの時間はそこまでだ!」
フィーネントがぴしゃりと口を挟み、ダルジーニが無言でパチンと指を鳴らした。すると大行進していた幾多のGの目付きが変わり、標的は僕等に定められてしまった。三六〇度見回してもGが獲物を狩る様な目で僕等を注目している。
攻撃してもGが自爆し僕等は巻き添えを食らってしまうし、
「うわぁ…これ完全にヤバい状況じゃねーか」
ソウルイエローが苦笑しながら呟いた。
「もう、ソウルイエローが無駄話し始めたからこうなったんでしょ!?」
「お前だって散々馬鹿をディスってたくせに!!」
「どちらも一理あります!と言うより、この状況で言い合っている場合ですか!」
やれやれと思いながら二人の
「どうするんですかこれ!?何か策はありますか!?」
ソウルグリーンはソウルタクトを強く握り締めつつも、小刻みに腕が震えていた。
「そんなの無いわよ!ソウルイエローはっ!?」
「右に同じく!ソウルブルーは!?」
「残念ながらお手上げ状態です」
「ハイ終わったー!!」
ソウルイエローが諦めて叫んだ。
「さらばだソウルジャー!精々地獄を楽しむんだな!!」
フィーネントが嘲笑しながら言うと、ダルジーニは不穏な笑みを浮かべながら再度パチンと指を鳴らした途端、大量のGが一斉に僕等に襲い掛かった。
「ダメだ!もうお終いだ!!」
ソウルイエローが腕で顔を
「……………?」
何も起こらない。Gが襲い掛かってくる気配も無い。
目を開くと、ついさっきまで襲い掛かって来た大量のGの姿は全く無く、茶色で覆われていた建物は元通りになっていた。
「何がどうなってる!?まさか本当に見つけた訳じゃ無いだろうな!?」
フィーネントは混乱しながらダルジーニに怒鳴り付けた。
「本当に見つけてやったぞ!!正真正銘マジの玩具をな!!」
西口周辺から聞こえた彼の声。駅前の大学の方へ振り向くと、彼と一人の少年が
「「「ソウルレッド!!」」」
「随分遅かったですね。ですが、厄介者を
三人が歓喜し、僕は思わず力が抜けて
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