第一曲 第九楽章 銀河 鈴星学園初等部高学年館前にて
何とか無事に
「それにしても、何でムーン姉さんはフィーネントに捕まったの?」
「あぁ…、実は用あって高等部A組の教室に行ってたんよ。そんで外出たらいつの間にやらギン達が戦っとったザコが出て来よってな、ウチはこの竹刀でそいつらをやっつけたんよ。けど、あのフィーネントってやつ…ごっつ強い力に負けてな…そんで捕まってしもうたんよ…」
月夜は俺の左肩を借りて弱々しく説明した。
「なるほど、そうだったのか。けど何でアルマイナの集団は校内に侵入出来んだ?」
「フィーネントは戦闘時に手からマイナリーを召喚しました。僕の推理ですが、恐らく襲撃する際に生徒や先生方の目に付かない所に侵入し、その力を利用して校内に侵入させたのだと思います」
「ふーん…」
「…あのさ、今回の事で何が起こっとんのか理解出来んさかい、ウチにも詳しく説明してくれると助かるんやけど…」
「おう、その件については後でな。ところでお前、念のため確認するけどよ、一体何者なんだ?」
俺は
「おい答えろよ!」
「静かにして下さい銀河さん、向こうから誰か来ます」
今まで無口だったセイちゃんが正面を指して知らせた。
正面を見ると、白衣を着こなした白髪が少々目立つ中年の男性が俺達の方へと向かって来る。
「よかった、お前達か。体育館に行っても姿が見えんから、何か事件に巻き込まれたのかと…」
男性は俺らの姿を確認した途端、話しかけてきた。
「博士!?どうしてここにいるのですか?」
「お父さん!?大丈夫なの?」
宇宙と輝が突然のことで驚きを隠せなかった。
この人は俺達
「学校の方で爆発があったと聞いてな、すぐに駆けつけたんだが…」
家から距離は何十キロくらい離れてるというのにそこまで分かるんだな。恐らく職員達が隅から隅まで保護者に連絡したのであろう。
「ところで君達、さっきの怪物を倒したのは本当か?」
……………………!?
何だとおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!?
「おい親父!見たのか!?俺等が変身して敵をやっつけたとこを!?」
まさか…そんな姿を親父に見られるとは…!!最悪だ!!
思わず親父の胸倉を掴んで問い詰めた。
「博士!!そのことは他の生徒や教師達には知られていませんよね!?」
冷静な宇宙も流石に動揺し、混乱状態であった。が、行動は落ち着いていた。
「ご安心下さい。この事情を知る者はここにいる私達だけです。この学園の生徒や先生方は皆さんが戦っていることや変身する姿は一切知りません」
女神様が親父が目の前にいるにも関わらず、突如話し始めた。
「ちょっと!?親父がいるのに勝手に話しても大丈夫なのか!?」
蛍の側にいた彼方が慌て始めた。
「ええ、
「おい!おーい!!」
俺は何度も女神様を叫んだが、反応はせず元の蛍に戻った。
女神様は何て勝手な奴なんだ…。
「とにかく早く体育館に入りなさい。先生方の指示に従って行動するんだぞ」
そう言って親父は俺らを小アリーナへと誘導した。
今日は酷い目に遭ったな…。けど今後は嫌なことが起こりそうな予感がする…。
そう思いながら全校生徒が待機している体育館の中へと入って行った。
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