情報の海より捉えられる正体
この世には、商店の集まった施設というものがある。定義的にはショッピングモールというのか、それとももっと別のなにか呼称があるのか、そのあたりは少し下調べしないと分からないが、何にせよ今日は、そこであったおはなし。
……まぁ、あったとは言っても。所詮は夢の話なので。
いまいち細かい背景を憶えていないが、誰かに頼まれて、小規模なショッピングモールに行ったのである。
目的は、ただのお使いだったかもしれないし、あるいは窃盗だったかもしれないし、はたまた何かしらの破壊活動とか、または
ただ、その目的がなんであれ、実のところそのあたりはあまり内容に関係はない。
その日は、なんとなく高い商品棚に囲まれたところで、何かしらのこと(不肖私が解決に向けて提案等が可能だったあたり、コンピューターやプログラム開発にまつわる何かだった気がする)で困っていた、印象としてはお爺さんの話を聞いて、そこから用事を済ませに行ったらしい。
そして、用事を済ませてから、その帰りにぶらぶらとその中で悠長に店の中を見ていた訳だが(さっさと家なりに帰れよ)、なんか陶器とかフライパンとかを売っている店で、何かしらでコートされた卵焼き器を手に取りながら、何事かを話している男が気になり、近付いて話しかけに行ったのだ。
よくよく考えてみれば、その時点でややおかしい。私は性格的には本来、知らんやつに話しかけに行ったりはほとんどしない。何に困っているのかに興味はあれど、その問題を積極的に解決に行こうなどとはしないはずだ。焦げ付きにくいフライパンの何がどう違うかなんぞ、説明可能なほど理解しているわけでもないというのに、何を講釈を垂れに行こうとしたのか。
それでなんとなく朗らかに(少なくとも相手はそういう感じの印象だった)話しながら、改めてその卵焼き器を見たのだが、遠目で見たのとは明らかにものが違う、一般的な卵焼き器とは似ても似つかない、何か鉄板を歪に折り曲げただけのような、グニャグニャのそれが目についたのである。塗装もなんか、気持ち悪かった。パステルグリーンをベースに、神経を疑うような別の色が混ざって渦を巻くような、そういう混沌の何かが。隣にもう一つ、似た感じの色違いがあったように思う。
あまりに不可解なそれを見て恐れをなしたか、それとも単に普通に期待される説明を可能だったかが不明だったのか、とにかく話を切りやめて、てきとうに挨拶して帰るか、と考えたわけだが。
その男はまた別の話を始めた。私が別の場所でお爺さんの話を聞いて助けていたことを、その男は何処かで見ていたらしい。
「面倒事に首を突っ込むなんて、
台詞なんぞいちいち細かく憶えてはいないが、その男はごく普通に私の苗字をもって私を指した。こういう経験は、高校の時分にもあった。一方的に、こちらだけが名前を知られている経験だ。面識はないのに、変な目立ち方をしていたが故に、何故か名前を捉えられているという、非常に居心地の悪い状況。
それでも、高校のように閉鎖的で狭いコミュニティにおいては、まだわかる。そういうこともあるだろう。夢の話がいつの時期かは知らんが、少なくとも働き始めよりは後の時期において、どうして見も知らん奴に名前を知られる道理があるのか。
そいつは、インターネットに落ちている情報を拾い集めて、私のことを色々と知っていたらしい。取るに足らない一般人の情報など、特にまとめられているわけでもなかろうに、断片的で些末な情報を集めて、何故か私のことを知っていたのだ。少なくとも、その苗字を。
いよいよ気味が悪くなって、話を終えて去ろうとする私の背に、最後にその男はこう叫んだ。
「I guess it! ……
とうとうフルネームで呼び掛けられた私は、こうして逃げてきたのである。現実に。なんでいきなり英語なんだ。そもそも文法とかニュアンスあってんのか? その部分だけはなんとなく憶えている。
なんか、ホラーっちゃホラーな感じの話ではあるが、まとまりが無くて困る。単純に記憶の
インターネットに上げられている情報というのは、自分から上げているものも、誰かが上げているものも含み、非常にたくさんある。個人に
……とはいっても。あいつは額面通りにインターネットの情報を集めた訳ではないと思うが。絶対、なんか異能持ちだろ。
あと、ショッピングモールというよりは、どちらかと言うと
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