地底に世界があるならば、地底の空はどんな色
大阪には、巨大な地下構造が作られている。地表にある
梅田の地下は『
……というのも、今は昔の話で。
今は陸橋を使った直通の
もちろん、現代人というのはせっかちなものなので、そういう細かなロスもまた、人によっては許容し難い事があろう。そういう方は、ルート開拓を頑張ってもろて。言われるまでもねえわな。
今回は、そんな地下の話だ。
その世界は、なんだか全体的に空気が薄暗かったように思う。薄明の頃のように、青暗いとでもいうか。少なくとも、普段日中に見るような感じの色合いではなかった。
とはいえ、そもそも時間帯がいつの話だったか、については記憶が曖昧ではあった。それでも、早朝や宵の話ではなかったように思う。あるいは、私に腕時計をつける習慣があれば、また違っていたかもしれない。
そのあたりは、状況からの判断に過ぎない。私は、夢の中で会うには珍しく、実際現実に付き合いのある友人A――私にとっての本流である側で書いた随筆における、愛らしきYちゃんの母親である彼女と、飯を食いに行っていたのである。
何を食いに行ったか、については一切覚えていないが、既に一軒、割とがっつり食った後だというのに、次の店に行こうという流れになっていたのを覚えている。
よく考えたら、宵ならあり得なくはない選択かも知れないが、そういうのをするのは昼間だと、相場が決まっている。何故なら、夜の過食は身体に良くないし、何より眠りにくくなるから。
老化ってやだね。
その世界は、梅田の地上のように――あるいは、梅田の地上などよりも遥かに広大で、天高くまで広がる、巨大な空間だった。
それでも、そこを「地下である」と認識したのは、私たちがとあるビルの矢鱈巨大な階段を昇降した際に、階段を上に上がって階数が減ったことがきっかけだった。
それを見て、初めて「あぁ、そういえばここって地下だったな」と思ったのである。
ビルの中ほどから見上げた空には太陽がなく、のっぺりとした薄暗い青がどこまでも広がっていた。恐らくは、その奥には麗しの太陽があったのだろう。
そして、遥か地上の方……といっても、場所が地下であることからその表現は正しくなく、強いて言うなら地底なわけだが、そちらには私がよく知る(詳しいという意味ではない)梅田の地上のように、整然とした
薄暗いので、どこにも灯りは絶えず、特に赤く明滅する光が目立っていたように思う。でもアレ、記憶によると航空機の衝突を防ぐためのやつじゃなかったっけか。地下世界にも航空機あんのか?
そして、そのビルにはエレベーターが付いていて、エレベーターに乗って目的の階に行こう、という極めて順当な選択をすることになった。そして、エレベーターに乗り込もうとしたのである。横這いになって、足先だけ。
……なんでまぁそんなことをしたのかというと、そのエレベーター、なんか物凄く恐ろしかったのである。そのエレベーターは、何故か奥行きが人ひとり分くらいしかなく、しかも完全にビルの外側に露出する形で、非常に不安定なものであるらしかった。横幅は割とあったけど。
殊の外「高所からの落下」という
そんなことをウダウダとやっていると、なんか凄く美人な、あるいは可愛いと言えそうな金髪碧眼の女性、あるいは女の子? そういう感じの『
何にせよ、あまり他人を巻き込んで迷惑をかけることは出来んということか、それともまた別の心理があったのかは知らんが、私は横這いのまま、足先だけでなく全身を収めるように、覚悟を決めてエレベーターに乗り込んだのである。
以上で、この話はおしまい。
……いや、せめて目的地には辿り着かんか? と言われても、辿り着いた記憶がないので、別に創作してまで書こうという感じではない。そんなことをするくらいなら、最後に出てきた女の子をどうこうする方がいいに決まっている。
いや、やましい意味ではなく。
見る夢に意味があるかどうかとかは知らんが、何にしても不可解なものではありがちで、未整理の設定や状況というものが、それ単体で娯楽足り得るかどうかは微妙、というのがよく分かる。
その辺を今回の教訓としながら、今度はもっと書きやすい感じの、面白い夢を希望しておくとするか。まぁ、面白くても憶えてられなきゃ意味ないんだけど。
しかし、地底にあんな地上みたいな広がりがあるのなら、そのさらに地下深くにも、地下の世界はあったのかな。
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