第35話

それぞれ解散した。


「…華美さんに、告られた」


相談できる人ってあんまりいなくて。

専務に電話して聞いてみた。


「え、まじ?すげぇな」


「付き合っても問題ない?いい?」


「いいよ」


言い切る。すげ。


「礼央くんはいい子だし問題なんてないよ。ちなみに華美は名前だよ?苗字は早川はやかわ。名前呼びにいつからしたの?」


「…ま、じ。いや、昨日…たまたま会って、名前呼ばないと、って思ったら…」


「ふーん。礼央くん好きだったんだ」


「…いや…それは…」


「へぇ。華美さんは、まじめそうだから、礼央くんのペースにしないようにね」


「なに?」


「だから…ねぇ?」


専務はお客がきたから、電話は打ち切り。

俺のペースってなに?わかんねー

昼からの仕事に事務所に行く。


「礼央くん、考えてくれた?」


事務所入るなり、言われる。みんな見てる。ここで…言えと?でも、ちゃんと専務に聞いたしいい!


「つ、…付き合う!」


「えー!?なにそれ、すごい。おめでとう!やるじゃないの礼央くーん!」


拍手喝采。うわーなんじゃこれ。社長もいるし。


「わぁ嬉しい。やったあ」


笑顔な華美さんは、可愛らしい。手を勝手に取られて握られた。


「仕事には差し支えないようにねー?」


社長はにやりと笑う。


ここにいることが、今でも不思議に思う。

あの頃の俺は年月すら感じないくらいだったけど、今は違う。


短期間で、いろんなこと体験して…


この事務所にいる。


森山の家にも、たまには帰ってみようかな。

今の俺を、報告したい。


無理なことは、もうしないから。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

俺には釣り合わない えいみ @fukuharaeimi

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ