第32話

「ちっ。なんだよ、華美ちゃん。今日は下着ばらばらってか!しゃーねー帰る」


謎な台詞を言った男はさっさと歩いていく。

華美さんは、俺の腕にまだしがみついている。


「…は、華美さん、こんばんは」


挨拶遅くなった…いや、こういうときどうすれば正解だったかな。


「…礼央くん、なんでこんなとこにいるの?」


「それはこっちのセリフなんですけど。もう寝る時間ですよね?」


12時だし。


「今日は、研究室の…」


「とりあえず…ここから移動します」


華美さんは、大学の建築科に通ってて、設計事務所でアルバイトをしてる。もう内定決まってる。もちろん今バイトしてる事務所。まじめで、仕事できる人を入れるようにしているらしく、社長は気に入ってるらしい。俺も気に入ってる…けどそんなの言えないし。


「俺、今から飯なんすけど、華美さんは?」


「もう食べたけど…礼央くんといてもいい?」


これじゃ俺が誘ってるみたいになってる!恥ずかしい!


「いいですけど」


適当にファミレスに入って、和食を食うことにした。ここは憲緒さんに連れてこられたところ。


「飲み物は?」


「ありがとう、礼央くん。礼央くんは飲み物なににする?」


「俺は水…」


「うん。持ってくるね」


しまった、ぱしらせたなぁ。


「はい、どうぞ」


「あ、ありがとうございます」


「助けてくれてありがとう」


「あの辺歩くのだめっすよ。大通りがいい」


「…礼央くんはなにしてたの?」


「家帰るとこ。ライブハウスのバイト終わったから」


「私、聞きたかったんだけど」


「なんですか?」


緊張する。

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