帰宅途中

第31話

夜に会うなんて思わなかった。


あれは…絡まれてる?


「あの、私もう帰るので…」


「ミスコン出る子と一緒に帰れるなんてめったにないだろ?記念にさぁ、ここ入ろう」


「え、あの…」


ホテルに連れ込まれそうになってる。

どうしよう。困ってる…。


「華美ちゃん、それとも家まで送ってくれる?」


「な、なんで私が…」


手を引っ張られて…けどそれを拒んでる。彼氏ではないようだ。


「なに照れてんの?俺のこと好きでしょ?先輩先輩って前から言ってたし?」


「同じ、研究室だから…離してください」


「は?誘惑したのそっちだよ?終電間に合わないから帰るって言ったらついてきたじゃん?」


「本当に終電、間に合わないかもしれないんです」


「華美ちゃんはまじめでかわいいね?俺に気があると思うじゃん」


やたら絡んでるな、こいつ。

酔ってんのか?

俺の知らない人だし…


「すみません、外でそういうのはやめてください」


思わず、声かけしていた。


「あ?誰だてめ」


「部屋入ってからでお願いします」


「あ?そうだよなー?お前ここのやつ?いやぁ、彼女待ちきれなくてさー」


華美さんはぱっと離れて、俺にしがみついてきた。


「嫌がってますけど」

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