第29話
「じゃあ俺、掃除…」
「もっと食べたら?」
「…そ、」
「うん」
「そんなこと、したら…昼飯、なくなる…」
「あ、華美さんのお昼ご飯だったんだね。うちからご飯持ってくるから気にしないでいいよ。礼央くんも昼ご飯まで食べなよ」
「…え」
「礼央くんはご飯食べるの忘れちゃうみたいなんです。だから、一緒に食べましょう」
「…そうだね。そうしよう。じゃあ朝ごはんは食べてなかったんだね?夜は?」
「食べてない」
「…よし、とりあえず仕事は食べてから!華美さんは料理上手だね」
「専務も上手ですよ」
「…料理すんの?」
「まぁ、そんなうまくはないけど?礼央くんはやったことない?」
会社でサンドイッチをひたすら食う。
「ないから…先輩が教えてくれるって…」
「え!?それって…二郎!?」
「違う」
「なんだ…そうなんだ」
「専務の知り合いですか?」
「弟なんだよ。ライブハウスのバイト先がね、礼央くんと一緒で。先輩だからもしかしたらなと思ってね」
「トラさんって呼んでるから」
「あー、そうか。そうだった」
「専務もトラさんって呼ばれてますよね?」
「ここではね?二郎のあだ名だから、あんまり呼ばれたくはないけどしょうがなく」
「そうなんですね。礼央くんは、ライブハウスでバイトしてるんだね。なんだか素敵」
「でしょ?そこに弟もいてね」
…俺はたいしたことはしてないけど。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。