第28話

「お仕事お昼までだよね?お昼は食べないの?」


「バイトが夕方からだから、寝てます」


「…そうなの?うん、おいしい。こっちも食べて」


「あ…はい。ありがとうございます」


仕事しないで飯食ってる。

あ、そうだ。


「専務は…どこにいますか?」


「お買い物だよ?備品とか」


「そ、それなら俺にもできますか?」


「ん?」


「俺、手伝いたいんです。できることはやりたい…。仕事したい」


「専務に話してみようか?」


「あ、…はい」


華美さんも先輩みたいに、優しい。そうか、同僚に優しいんだ。そうだ。

俺だけに優しいなんて、ありえない。

先輩だってみんなに優しいんだから。


「やぁ礼央くん早いなぁ。何食べてる?」


噂をすれば専務が帰宅。


「あ、専務お帰りなさい。私の手作りサンドイッチです。専務もどうぞ」


華美さんは専務に手渡した。


「ありがとう。おお、なかなかにおいしいね」


ほら。…もう考えないように。


「礼央くんが、お買い物やりたいみたいです。専務、任せられますか?」


「…え、いいの?買い物リスト通りだし、頼めるならやってもらいたいな。今度お願いしてもいいかな?」


「あ、はい。俺、やります」


「礼央くん、助かるよ」


「やったね。礼央くん」


ほっとした。

俺は、ここにいていいんだ。

ちゃんと、話を聞いてくれる。

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