第24話

「お前素直だよな…」


「え?」


「礼央は、いいやつだから、絶対いい女見つかると思うぞ」


「いや、俺とか…だめだから」


「憲緒の方がだめだろ。女にだらしないんだぞあいつ」


「それ有木さんに聞きました」


「ふ。親に言われるとか」


確かに。散々だな。


先輩と話したり、くだらないこと有木さんと話したり。俺、けっこう楽しい。


「礼央くん。晩飯おごったる」


仕事終わって帰ろうとしてたら憲緒さんに捕まった。


「おー、憲緒気前いいな」


「え、でも…」


先輩は…?


「俺は帰るから気にすんな。2人で行け」


「おっしゃー!行くぜー」


連れて行かれた先は、居酒屋。


「まずは生だな!」


「…俺…未成年」


「はぁー?まじ?礼央そんな若い?やべー羨ましい!まじでか!」


うるさ。


「飯食え!食えるだけ!おごる!」


「何食っていいかわからないんすけど…」


「まじ?俺がいろいろ食わしたる!」


世話焼きな憲緒さんのおかげで、この辺の店を知ることができた。


そんな憲緒さんとトラさんのライブを初めて見たとき驚いた。ほんとに、いつもの2人だろうか?まじで弾いてる?画面越しに見たけど、だいぶ違って見える。


「ノリかっこよかったよねー」


うそだろ…


受付を通り過ぎる化粧けばめの女たちは騒いでいた。トラさんのことは誰も触れてないけど、舞台ではイケてる風に見えた。


「憲緒さん、モテてる。なのに彼女いないんすか?」


「あいつは、演奏してないときはだらしねーからな」


「あー、なるほど…」


これじゃないってなるのか。

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