ライブハウス

第23話

「礼央、お前は仕事丁寧だな」


「え、…ありがとうございます」


今日は、有木さんの息子の憲緒のりおさんと仕事だ。かなり適当な人で掃除は適当にやって、エロい本でも読もうと言い出す人だ。

で、俺は無視して普通に休憩室の掃除してる。憲緒さんは読書してる。


「なー礼央くんよぉー。お前若いからさぁ、次のライブで女の子キープしてくんねーかな」


「は?」


「俺のファン探して、出待ちさせないで受付で待たせてくれよな?」


「…なんでですか」


「夜遊ぶから」


…はっきり言いやがる。


「無理です。ファンが誰かわからないし」


「ノリかっこいいーって言ってた子とかさ」


そんなこと言う人いるか?


「おい憲緒、礼央に変なことさせんな」


「あ、先輩…」


体調悪くしたとき、先輩は有木さんに後で俺の話を聞いてくれていた。とても優しい先輩だ。憲緒さんは俺のこと聞いてないみたいだけど、気にならないのは有木さんに似てるから?

トラさんは、別に普通で。ただでかい声を出すのを押さえてるようには感じる。うーん、俺がひ弱なせいで無理させてないといいな。


「彼女欲しいんすよ!先輩お願いしやーす!」


「…憲緒は紹介しても全然続かねーだろ。ちゃんと自分で選べ」


「そっすね。んじゃ、俺は練習あるんでさいならー」


…雑誌広げたまま出て行ったし。楽器はそれなりにできるとか?それまじなわけ?


「礼央、憲緒さぼってたんだろ」


「これ読んでました」


「…たく。私物持ち込みすぎなんだよ。礼央、ちょっとは休め」


「はい。…あの、先輩は彼女いますか?」


「…嫁がいる」


「え、まじ?」


「子どもいるし」


「まじすか!先輩すげぇ。で、嫁ってどんなの?」


「どんなのって…写真見るか?」


「はい」


へぇ…ギャルじゃねーんだ。なんか頭良さそう。学校で出会ったとかだろうか?


「…すげっすね。先輩モテる」


「いや、それはない。礼央のほうがモテるぞ?この間バンドマンのやつらが、あいつ誰って聞いてきた。お前くらいの女の子。話してみるか?」


「無理」


「あっそ。彼女欲しいわけじゃねーわけな?」


「別に。先輩のこと知りたかっただけっすよ」

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