第20話

翌日も掃除のバイトに行く。


「おはよう!朝早く来ちゃって待ってたの」


なんで…バイトの人だけ?専務はまだか?


「お、おは…」


2人きりなんて、どうしたらいいんだ。


「あれ?華美はなみさん?今日休みだよ」


専務が遅れてやってきた。


「え…あ、すみません!間違えたみたい」


「今日はすることないから、帰っていいよ」


「はい…では、また明日お願いします」


「うん。気をつけて」


さっさと専務は返した。


「礼央くん、なんかしゃべった?」


「いや…」


「もっと気軽にしていいのに。さー、仕事するか。みんな来ないうちに事務所の掃除よろしく」


「はい」


「それにしても、礼央くんは掃除得意だよね。昨日掃除したとこ、綺麗だったよ。…なんか今まで掃除してなかったみたいに感じてしまった」


専務はなんか言いながら事務所に入る。


「今まで誰が掃除してたんすか」


「はい、俺〜。こういう書類をさぁ、散らかすのが好きな四季さんだから。俺がついでに他のとこも掃除してたんだよ〜」


専務は仕事の時は、ちょいまじめモードなのか?今は普段モードのようだ。


「ふーん。仕事人間だ」


「ふ。そうなんだよ。俺は働いてないと落ち着かないわけな」


「ふーん」


「事務所の掃除は大変だぞー?書類無くしたらキレるから」


「俺床だけでもいっすか。机とか、人のものだし」


「…そうだね。よし、やろー!」


専務はまじめに掃除する。

あ、そうだ。


「トラさんって、まじで弟なんすか?」


「えー、礼央くん仲良しになった?」


「いや」


「仲良くしてよ」


「逆かも。うざかられてそ」


「そりゃないよ。二郎じろうは優しいからね」


「は、なんすかそのだせぇ呼び方」


「ださくないって。二郎と一緒に仕事楽しんでよね?」


「はぁ?俺、ほぼ1人で仕事してるんすけど?」


「そうなんだね。ライブはいつあるのかな?二郎はベースやってるんだぞー?」


「へーまじすか。下手そう」


「うまいから!ちゃんと聞いてから言えよ」


専務は弟びいきなのか?

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