第18話

「聞いてきたよ〜。社長がいいって!お茶飲む?」


「あ、はい…すみません…」


「いいのいいの。好きな時に休憩していいって。よかったね。ほら、そこに座って」


お茶入れてもらうとか、ありえな。俺はバイトなのに。偉そうだよな…。


「お菓子は?食べる?」


こんなに、よくしてもらったり、話しかけられたり、目を見られたり…

どうしていいかわからない。


「すみません…」


一個もらうことにした。緊張する…

女は苦手だけど…この人はそういう感じしない。でも、なに話したらいいのやら。


「あ、専務。お茶入れますね」


ナイスタイミングで専務が部屋に。


「ありがとう。お、礼央くんだ。掃除はどこまでできたかな?」


「休憩室、途中まで」


「それはよかった。事務室は今日はいいから。一旦帰って、またバイト行けばいいよ」


「え、でも…途中」


「引っ越したばっかりだし、ゆっくりしなよ」


「…はぁ、じゃあ帰ります」


まぁ、専務が言うしいっか。帰ろう。

しばらく寝てからライブハウスへ。


「あ、あの…今日から…」


「おう、今日からよろしくな」


受け付けで、気さくに話しかけられた。

初めて見る人だ。


「俺は斉藤和宏さいとうかずひろ。受付くらいしかできねーけど。今日はトラもいるからいろいろ教えてもらえ」


「トラって誰ですか?」


「は?お前紹介したやつだろ?」


「え、トラって名前ですか?」


虎二郎とらじろうってんだ」


そんな名前とか…想像してなかった。

いや待て。専務の名前、確か虎一郎だった。なるほどね。


「お前は、名前なんだ?」


米田礼央こめだれおです」


「じゃあ礼央って呼ぶから」


「…はい」


いきなり名前呼びとか。びっくりする。

しばらく、受け付けでしゃべっていた。

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