第17話

前の職場の人にはお世話になったけど、喜んで送り出してくれた。だって、よく来る客だったし、信用してるとか?部屋も用意してくれたから、引っ越した。


金井さんは、自分らが住んでる家の下の空いてる部屋を借りてくれた。たまたま空いてたらしい。

そして、自分たちの会社に、清掃員として雇ってくれた。


「みなさん、今日から清掃のアルバイトが入ります」


嫁、いや…社長はなんだか自慢そうにしてる。


「…そうなんですね」


他の社員は少し驚いてる。若いガキのバイトとか雇ったことなさそう。


「じゃあ、礼央くん。自己紹介どうぞ」


いきなり、専務である旦那が話を進める。えー、自己紹介とか俺がするの?


「…は、はじめまして。あ、あの…米田礼央こめだれおです。よろしく、お願いします」


みんなの視線が痛い。こんなとこに、金髪のまま来てよかったのかな…。前の職場で茶髪だと舐められるから金髪で髪伸ばせと言われてた。黒がよかったかな…。


「彼には清掃をしてもらいます。で、この人たちが社員で…」


社長はものすごい速さで、会社の人を紹介。

はぁ、俺は全然紹介できなかった。まぁいいか。バイトだし。


話が終わって、早速清掃に取り掛かる。客間、トイレを先にして。で、休憩室も使ってない時に掃除。あんまり汚れてないし、超楽勝。

昨日受けたライブハウスの面接受かったし、仕事内容も簡単そうだし、気楽にいられそうだ。


「あの…」


「あ、はい」


大学生のアルバイトの人が、休憩室に現れた。1人しかいないから覚えた。てか、休憩まだだったんだろうか?しまった。


「すみません、すぐ出ます…」


「少し休憩しませんか?お茶入れますよ?」


「え…?」


「礼央くんはお茶嫌い?」


名前…?あ、専務がそう言ってたな。


「いえ…あの、今は仕事中だから…」


「でも休憩してないよね?社長に聞いてくるね」


労働時間のこと?うあーうまく話せない、くそー!イレギュラーのことを聞かれても、反応できねぇ。

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