新しい職場

第16話

「…兄貴の紹介ねぇ」


同い年くらい?金髪野郎だけどなんか落ち着いてんな。


「おっしゃ、すぐ終わらせてやら。ついて来い」


面接付き添ってほしいとは言われたが…

俺も初めて会うし、何者かすらわからん。兄貴がライブハウスのバイトしたい子が見つかったとは言ったけど、お前は何?


「お前履歴書は?あんのか?」


面接する有木ゆうきさんは動じずいつも通り。休憩室でだらけながらの面接。俺はこいつの隣。


「ない、です」


「前の職場は?」


「…ラブホ」


「…なに?トラの兄貴とどんな知り合いだ?」


「ホテルで会ったから」


うげ…まずい。こいつはなんでも話しそうだ。兄貴がデリヘルよく呼んでますとかさ。


「嫁といつも来てた」


な、なんだよ…紛らわしい!

しかしなんだ。よく来てた風な言い方。忙しいんじゃねーのかよ!


「ふーん?それだけで紹介することになるのか?」


「俺は一方的だけど、たまに見かけてたし…なんか声かけられたから」


「ははぁーそんな通ってんのかよ!すげぇなーお前の兄貴!バリバリ!」


「知らねーっすよ。んなこと」


「そんで、お前、トラの兄貴の家の近くに引っ越すんだって?ここだけの金じゃ住むには無理だろ」


「事務所の掃除頼まれたんで。それもやります」


なんてやつ。兄貴こいつに親切にしすぎ!


「じゃー採用な」


「は?有木さん早くないっすか?」


「いやお前の兄貴の知り合いならよくね?」


「いや、全然知り合いじゃねーし。意味わかんねーし」


「もういいだろ?お前は、いろいろ仕事できそうだし、使えるな」


「は?俺は?」


「トラより稼ぎ頭になるだろ?若いしイケてるしな」


ぬぁんに!そんなこんなで、こいつは明日から働くことに。

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