第15話

「いつもお世話になっております。金井です」


げ、本当に来た。しかも、連絡したその日に。


「はじめまして。あらぁ、やっぱり美人ねぇ」


「綺麗っすねぇー」


「こちら主人です」


「お世話になっております…」


なんだか気まずそうにしてる。なんたって常連さんだし。


「まぁ、お座りください」


おばちゃんは畳の部屋に案内した。俺も長政ながまさも続く。


「礼央をよろしくお願いします」


座ってすぐ、おばちゃんがはっきりと言う。


「え?」


「はい、お任せ下さい」


…旦那も嫁も動じてないし!?なんで?俺だけが焦ってる。


「礼央、よかったな」


長政まで動じてない。


「え、…な、なんで…話し合うんじゃ、なかった?」


「うちより待遇良さそうだし、いいじゃないの。それより金井さん。美人すぎません?お店の子にしては美人すぎるって話題だったんですよ?」


「ありがとうございます。嬉しいです」


奥さんはなんて余裕なんだ。旦那は少し困り気味。


「Sなんですって?」


「私はどちらでもいけますよ?」


「四季さんこら」


「あなたがそんな話したんでしょ」


「う、すみません…」


「拘束するのが好きなんですって?どっちが?」


「どっちもだよね?あなた」


「…もう、やめて下さい…」


旦那は消え入りそうになった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る