第10話

大急ぎで部屋を出て行った。やっぱ嫁じゃないんじゃね?着替えたらばれるぞ?いいのか?気にしないで掃除しよ。

おじさんなかなかにしゃべったじゃん?俺聞いてないのに。


「あなた?」


うえ…!あっちが出てくるのは俺のせいじゃねぇ。バスローブ着てると、ますます店のやつに見える。


「あ、あの…服買いに行ってますけど…」


やっぱそこいらの店の女より綺麗だ。みんな噂してた。あの子はどこから来てるのかって。


「ねぇ、君はなんでここの仕事してるの?」


「え、…俺?まぁ、金欲しいから?」


「しっかりしてるから、他のとこでももっと稼げそうなのに」


「まーきたねーのは嫌だけど。でも、ここの人に助けてもらったし」


「なんの仕事したい?」


ソファに勝手に座ってるし。女と話すのも嫌だったのに、俺は普通に話してる?


「あー俺中卒だし、なんもできない」


鏡を気にせず拭くことにした。


「そんなことないでしょ。しっかりしてるもん」


「…俺なんかただのガキだし」


「彼女はいないの?」


「いない…」


「もったいないね。もてもてになりそうだよー?」


「俺はそういうの、無理だから」


「風俗の子にかわいい子いないの?」


「は?」


「付き合ってみたら?可愛い子もここ来るんじゃない?」


「はは。ありえねーよ!絶対嫌だ」


この人結構しつこいな。

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