第6話

「礼央、どのくらい今のところにいたんだ?」


いつの間にかおばちゃんはいない。飯は全部食べた。


「さぁ…1年くらい?」


「礼央は何才なんだ?」


「16、だったかな」


「そうか…お前、学校とかは行ってた?」


「たぶん…」


「そうか。よし、ここから近いとこにおばちゃんが大家やってるアパートあるから。お前そこ住め。布団準備してあるからな」


「…あ、はい」


俺は、その家で3日くらいほとんど寝てすごした。ご飯は、運転手のやつに持ってきてもらえた。


「礼央、だいぶ顔色よくなったな」


飯はあっという間に食べ終わった。


「…仕事…またさせるの?」


思い出したくないことだけど、考えずにはいられない。


「いや、掃除の仕事だけだ。お前も一緒にしような?俺と一緒だから」


「…俺、掃除ならできる」


「おう。まー他にいい仕事紹介したいんだけどなぁ。いい仕事見つけたら辞めていいから。お前の好きなようにしていい」


「なんで…俺なんか…」


「お前、つまんなそうにしてたから。楽になって欲しくて。まー俺の勝手だけどな?」


「…俺は、なにもない」


「礼央、お前は本当にいい子だ。よく頑張った。よしよし」


なんで頭撫でるんだか。


ふー…、なんで


…なんで


「なんで、早く助けてくれなかったんだよ!助けてよ!」


なでられている手を跳ね除けて、叫んでいた。


「助け、て…」


「礼央、遅くなってごめんな?」


いつのまにか、抱きしめられてた。

俺は泣きすぎで、ガキ同然になってしまった。

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