第5話

「お前、名前…もっかい教えてくれ」


「米田」


「下の名前は?」


礼央れお


「礼央か。今までどこに住んでた?」


「帰ってなかったから…場所わからない」


あんなに一人暮らししたかったはずが、場所すら覚えてない。


「あらそうなの?どの辺か教えてくれたら探してあげる。さ、ご飯食べてごらん?」


「あ、あ、…の」


「ん?どうしたの?」


なんて言えばいいんだろう?俺は、話しがまとまらなくて、うまく言葉にできないことが多い。だから、付け込まれる。


「い、いいえ…」


「なんでも言えよ?ゆっくりでいいから」


「…あ、あの…飯…」


「ん?」


「…どっちから、食べたらいいの?」


「…あら?給食は食べてなかった?」


「食べてたけど…忘れちゃって」


「よし、ばばぁ。飯俺にもやれ。一緒に食おうぜ」


「ったく、しょうがないわね」


俺が食べてたのって…パン、おにぎり、水、ビール?わっかんね。


「礼央、飯から食え」


いつのまに持ってきたんだか、同じ料理が隣に置いてある。


「あ、はい…」


あったかいご飯だった。いつ以来だ?学校以来?普通に飯が食えた。食欲とか戻ってきたのかな。

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