第4話

その人に、他のラブホに連れて行かれた。だいぶ離れたところにあるけど。また同じことを繰り返せって?

車から降りて、事務所に手を引かれて行った。俺が逃げると思ってるかも。


部屋に入ると、暖かい。冬だもんな、そういや外寒かった。ほとんどホテルに住んでたから、外なんて久しぶりだった。


「さっき電話で言ってた子、連れてきた」


事務所の椅子に座っていたのは、おばちゃんだ。怖くなさそう。それから奥の、畳のある部屋に連れて行かれて、座布団に座らされた。


「寒くないか?」


「はぁ」


運転手の人が、肩に上着をかけてきた。俺はシャツ一枚だった。


「さ、ご飯食べて」


なぜかおばちゃんが飯を持ってきた。お盆に、載ってる。目の前に、ご飯と味噌汁が並んだ。食欲とか、そういうのないから、これ…どうしようかな。ぼーっと眺めていた。


「こいつ、いいように使われてて…すぐ気付いてあげられなくて、ごめんな」


運転手の人は、隣に座って、俺をじっと見ていた。


「…俺のせいだから…」


「あんた!そんなことないの。辛かったでしょう…」


目の前にいるおばさんに労われた。


「この人は、俺のおばだから。悪いことはしない。とりあえず飯を食え。お前、ガリガリだから」


そういえば、ほとんど食べてなかったかも?

食べようとしても、喉を通らなかったから。

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