第3話

「顔色悪いよ?」


「は?お前らのせいだからな。もっと、マシなやつを使ったほうがいいってようやく気がついたか?俺はもう、やりたくない…」


いや、この人に言ってもなんも変わらないなんてことはわかってる。でも、言ってしまっていた。


「部屋の掃除、時間かかるよね」


「かかるけど?」


「忘れ物、後でまた取りにくるから、ここで待ってて」


運転手は出て行った。

はぁ…自分が使った部屋の掃除とか惨めで、毎回胸焼けがしそうだ。でも、掃除しないと…仕事だから。なんとか奮い立たせて、掃除も終わりそうなときに、さっきのやつがやってきた。


「迎えにきた」


忘れ物取りに来たの間違いだろ。ふざけんな。


「…忘れ物、この携帯だろ」


「そう。ありがとう。で、君…荷物は?」


「はぁ?ロッカーだけど」


「すぐ持ってこい」


「は?」


「デリヘルに呼ばれたから外に行くって言って、荷物持って駐車場に来い」


「え…なにそれ」


「早くしろ!」


みんなそうだ。俺のことおもちゃだと思ってる。従うしかなくて、言われた通り先輩に説明して、駐車場へ。待ち伏せしていて、車の助手席に乗せられた。


いつ死のうか…車から飛び降りるか?


「お前名前は?」


「米田です」


なぜか、しっかりシートベルトされた。


「仕事辞めろ。…他のとこ紹介するから。俺もこの仕事辞めて、一緒に働くから」


「は?…意味わかんねーんだけど」


「もう、大丈夫だから」


頭を撫でられた。

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