第2話

「はい、お疲れー。米田、部屋掃除な」


気がついたら、いつの間にか部屋に先輩が入ってきていた。俺1人になってる。


「あ、あの…これは仕事…なんですか?」


まだベットに寝転んでいるが、聞かずにはいられない。


「いい仕事だろ?遊びに金かかんなくていいだろ?しかも金が発生とか最高だろ?なー?」


髪の毛を無理矢理掴まれ、先輩は目を合わせてきた。


「あ…の、俺はやりたくない…」


「は?無理だから。さっさと掃除しろ」


思い切り、拳で顔を殴られた。


断れなくて、結局この仕事をさせられることになった。デリヘル嬢の、新人の練習台。それか、テクニックの練習?それ以外は部屋の掃除。拘束時間は長いが、給料もいいから前の仕事を辞めた。


俺は、なにしてんだろ?


…でも、虚無感に襲われていた。親にほっとかれて、勝手に一人暮らしして、自分を売って。


あぁ、なんか…


もう、俺じゃない。そもそも、俺って何?

ぼーっと、流されて生きている。


「あ、掃除中?女の子が忘れ物して」


この人は、デリヘルの運転手?勝手に部屋に入るとか。今さっきの子たちの?部屋に入るならノックくらいしろや。


「…まだ掃除してないんで、勝手に探して下さい。今から掃除道具取りに行くんで」


着替え終わって、ベットでペットボトルの水を飲んでいたところだった。これから掃除か、と思うとなんかやる気出ない。動くのしんどい。


「…君、ここのスタッフだよね?」


「はぁ」


「…なんでここにいるの?」


「…はは、なんなんすかそれ。あんたの会社だろが」


もうくたくただ。同じ日に何人も連れてくんな。死ね。

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