第153話 休載のお知らせとオマケ

 いつも拙作をお楽しみ頂きありがとうございます。


 活動計画に書けばいいのでしょうが、そもそも私をフォローされていない読者様もいらっしゃると思い、こちらに書かせていただきます。


 タイトルの通り、暫く休載いたします。


 理由は……発熱いたしまして……。家人がインフルエンザに罹患しているので、かなりの確率でインフル濃厚です。

 インフルですと、少なくとも三日は動けないだろうと見込み、まだ辛うじて動ける今、こうしてキーボードを叩いております。


 熱が下がり次第、連載を再開いたしますので、それまでしばしお待ちいただければ幸いです。


 早ければ三連休明けくらいから再開出来るかと……。


 皆様もご自愛ください。



   キー太郎




 おまけ 


 前回と次回のちょっとした間です。





 もう間もなくショッピングモール跡地に辿り着くかという、トラック荷台にて――


「流石に腹が減ったな」

「だな」


 早朝出発のため、軽食しか摂っていないロランとルッツがその腹を擦る。


「よぉお二人さん」


 そんな二人に、ユーリが髪を風に靡かせて笑いかけた。ユーリと付き合いの長いカノンには、「ああ、悪いこと考えてる」と分かる顔だが、免疫のない二人は「なんだ?」と表情に見せるだけで何の疑いも持っていない。


「もうすぐ飯だからガッツリは無理だけどよ……」


 そう言ってゲートから一つの瓶を取り出した――


「あ゛……」

「それは……」


 ――見覚えのある瓶に、クロエとカノンが固まる。


「……でよけりゃあるぜ?」


 ニヤリと笑うユーリに、「キャンディか……」と二人が顔を見合わせた。


「腹の足しにはならねぇが、口寂しさくらいは誤魔化せんだろ」


 そう言って瓶から飴を二つ摘んだユーリがそれぞれへと放り投げた。


 受け取った二人が、べっ甲色に輝くそれを見つめ……「ま、キャンディもいいかもな」とほぼ同時にそれを口に含み――


「「ブッふー」」


 ――一瞬で咳き込んで吐き出した。


「おま、何だよこれ!」


 眉根を盛大に寄せるロランと、未だ咳き込むルッツ。


「何って……飴だろ? ……


 悪い顔で笑うユーリに、ゲートから取り出した水を飲んだロランが「何でそんなモン持ってんだよ!」と再び水筒を傾けた。


「何でって、売ってたから……なあ?」


 リリアに視線を向けるユーリに、「普通は買わないわよ」とリリアが片手で額を抑えている。


 ようやく口の中がリセットできたのか、水筒を戻したロランが「ふー」と大きく息を吐き出した。


「おいユーリ……それくれ」


 まさかの提案とともに手を差し出したロランに、全員の視線が集まった。


「お前……もしかしてバカ舌か?」


 渡しておきながら、そして買っておきながら、とんでもない言い草である。


「馬鹿か。せっかくだから……アイツらにもって、思ってな」


 悪い顔で笑うロランが、自身の後方……つまり運転席に座る人物を指した。


「……いいじゃねぇか」


 それにユーリも悪い笑顔を返して、ロランへ飴玉を二つ手渡した。


「ルッツ、ディーノに――」


 そう言いながらルッツへ一つ手渡したロランが、そのまま運転席の窓をコンコンと叩いた。


 パワーウィンドがゆっくりと下がり――


「ダンテ、疲れたろ。キャンディでも食えよ」

「気が利くじゃねーか〜」


 何も知らない哀れな子羊が……


「ブッふー」


 ……大きく揺れるトラック。


「あっぶな!」

「すげー破壊力だな」

「今度ジジイにもやろうぜ」


 ケラケラと笑うロランとルッツ、それとユーリに、「おいおいおい〜何だよこりゃ」と運転席から非難の声が届いた。


「何ってキャンディだろ……


 やってやったという顔のロランにユーリも満足そうに頷いた瞬間、「バン」とリアウインドウを叩く音が響いた。


 そこにいたのは……真っ直ぐにユーリ達を見るディーノの姿だ。


「……どんな表情?」


 ディーノの表情の変化が分からないユーリがロラン達を見るが……二人は驚き固まっている。


「おい、バンダナ。どんな――」

「めっちゃ喜んでる」

「ご満悦だ」


 呟く二人の言葉にディーノのよくよく見れば、なるほど頬が僅かに膨らみ飴玉を転がしているようにも見える。


 真っ直ぐにユーリを見つめるディーノに、ユーリは「いる?」と瓶を掲げてみせた。ゆっくりと頷くディーノに、ユーリ達三人は顔を見合わせ誰ともなく笑い声を上げた。


 トラックの向こうにはショッピングモール跡地が見え始めていた。



「お〜い! 誰か水くれよ〜」


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