第8話
見慣れない天井に気が付き目を擦る。確か回避が間に合わなくて死んだんじゃ……。
腕には点滴が、足元の方にはカーテンが、周りを確認したところ、ここは病院のようだった。足元の方に棚とその上にモニターが置いてあるのが見えた。起き上がり、棚の中身を確認するとカード端末と綺麗になった私服が置いてあった。さすがにサングラスは壊れたようで、棚の中には入っていなかった。端末の右上に取り付けられたボタンを押して、虚空に浮かぶ時計を見たが、あれから五日間も寝ていたようだ。しかも今日は生徒会と部活の共同ボランティア活動の日だ。
この日を逃せば夏休みが終わるまで生徒会の人達に会う機会が無くなってしまう。
医者からは入院の必要はないと言われて内心ガッツポーズを決めながら話を聞いた。カード端末は無傷だったが、右手のチップとスマホが壊れていたらしくスマホは修理したらしくすぐに返され、右手のチップは旧式の物で同じ型が無く、破片は取り除かれて今は何も無いらしい。すぐに着けれるがと言われたけど、そんな余裕は無いので断り、身体検査だけ受けて今に至る。
今は学校へ全速力で向かっている。病院から学校までは三十分程度で辿り着く距離なのが幸いだ。
校門を通過し、下駄箱まで来たのだが校舎のドアは空いているのに声が全く聞こえない。
階段を駆け上がり生徒会室に向かうが、すぐにその足は止められることになる。どうしてここに居るのかと不思議そうな難しそうな顔をして此方をみている樋口理花の姿が僕よりも上の階から見えた。
階段を数段降り開口一番に「どうしてここに居るの?」と聞かれた。
確かに僕は部活にも生徒会にも関わりは無い。ここにいるのは確かに不自然だろう。
「五日前に書記から伝言を頼まれたんだ。局の人達が何かをするって……局って何なんだ?」
あの時できなかった質問と一緒に彼女に問い掛けた。彼女の顔色は青ざめ「その話は本当?」と聞かれ僕は小さく頷いた。
彼女は「明日は空いてる?」と聞いてきた。「空いてるけど…」と言いかけたとこで「明日、拠点で説明するから」「明日は朝7時に校門前で集合ね」
結局聞きたいことを聞く前に彼女は行ってしまった。しかも、いや、案の定と言うべきか、既に学校には部活をしている生徒しかおらず、生徒会の人は居なかった。
明日のことを聞こうと彼女に連絡をしたが三千円の交通費と端末やスマホの電子機器をオフラインにして来ることを言われ、僕の疑問には聞かなかったかような反応して答えてはくれなかった。
本当に明日に教えてくれるのか不安になりながら夕食を摂った。
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