第7話
ドアをが蹴破られ、僕が次の車両に入ると同時に、パシュという音がさっきまでいた車両から聞こえてきた。大きな足音程度の音なのにもかかわらず特徴的な音だからか、こちらにも確りと聞こえてきた。
音の出所を確認しようと音の方向を向く、目の前には僕を庇うように書記が体を覆い、その後ろには黒いコートを着た人達が片方の手のひらをこちらに向けて立っていた。
明らかな攻撃を受けて放心状態になっていると、今度は作業服の人達が手に工具のような物を持ってこちらに近づいてきた。
逃げ場を目線で探し続けている間に駅が到着したのか電車が停止した。それを見計らったように書記の突進で側面のドアを突き破り、僕を連れて外へと飛び出す。
電車は途中で止まったのか、ホームが無く、そのまま地面に着地し、目の前の柵を飛び越えて走っていく。この間僕はずっとお姫様抱っこであったので少し恥ずかしさがあった……。
もう辺りは真っ暗で警備が巡回してもおかしくない時間帯だ。周りを見ても耳を澄ましても警備ドローンの音も聞こえなければ、この時間帯からみられる蛍光色を主張するちっこい宅配車も見当たらない。この違和感はさっきもあった、もうすぐ彼らが僕らを襲いに来る前触れだと思う。
今回もダメだったかと諦め、書記に謝罪の言葉を告げるが書記は笑みを浮かべながら「どうやら、局の誰かが俺を殺したくて堪らないらしい」と
「俺を助けることは諦めてお前の話した学校襲撃に備えるんだ」と、その言葉を理解する前に続けて話し始めた。「俺を殺して何を狙っているかは分からないが、俺が死んで俺の存在の穴埋めをする奴等を疑え」「殺すことだけが狙いじゃないと?」その質問にゆっくりと頷き「今のままでは勝てない。まずは味方を増やし、その能力で局の計画を潰してやれ」はっきりとした声で僕に語り、今後の立ち回りも語ってくれた。「樋口理花と友人なんだろう?局の連中が来ると言えば話に応じてくれるはずだ」
「あなたは助からなくて良いんですか?」そんな疑問が自然と口に出た。
「あの変態財団に保護されてるからって何もしてなかった俺らが悪いんだ、気にしないでいい」
反論しようと口を開きかけたところで無音の車が前方から途轍もないスピードで向かって来ていることに気付く。引っ越し用のトラックの様に見えるが明らかに家具を積めて新家に届けようとしているようには見えない。
避けようと右に足を向ける。間に合わない、あまりにも気付くのが遅すぎた。
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