第6話
いきなり違う展開が始まった。
コンビニのカウンターでコーヒーを飲みながら待っていると、生徒会長と書記、そして前回は居なかった樋口理花が出てきた。しかも、それだけじゃなく前回よりも早い時間に校門から出てきた。
やっぱり自分の行動が影響しているのか?
良かった今回はサングラスに帽子を被って変装しているから、面識のある彼女にもバレづらくなっている筈だ。
このまま尾行を開始してもいいが気になることが、今回はあの男にコンビニで会っていない。ここまで変わるものなのかと驚いてはいるが今は尾行することに専念する。
今回も不良達に追われる状況になっている。前回と違う点は僕も一緒に追われていることかな。まさか委員長達と別れた瞬間を狙って話し掛けたのに、話し掛けた瞬間に不良達が見えたからそのまま書記を引っ張って逃げてしまった。
書記の顔をチラッと不良達との距離の確認ついでに見たが、どこか困惑しているような難しい顔をしながらも、決意を固めたかのような目で僕の顔をみていた。
彼らが人気の少ない場所に誘導しようとしていることは知っている。ここは近くの駅まで逃げることにした。
駅のすぐ近くまで来たところで不良達が走るのをやめて歩きながら近づいてきた。このままでは捕まってしまうと、そのまま電車に乗り込んだ。
電車内で不良達が来るのを知っていたこと、一度救おうとして自分が殺されてしまったこと、最後に学校で武装した人達が生徒を殺しに来ることを説明した。
説明を終えて書記の反応があるまで周りを見たがすでに外は暗く、座席には夏にもかかわらず黒いコートを着て中折れ帽を被った人と工事現場の作業服にヘルメットを被った人が数人、不自然な間隔で座っていて、あとの座席は制服姿の学生と薄着のサラリーマンがちらほら居た。不良達は居ないが何があるか分からないから警戒は続けよう。
「なぁ」と呼ばれて内側に向けていた意識を外側に戻す。鋭く真剣な眼差しで僕の目を視ながら「お前だけは生き残れ」と突拍子もないことを言い出した。
「え?」とその言葉の意味を聞こうとした時、プシュと何か空気の押し出された音が車両内に響き渡ると前方の座席に居た人達が倒れているのが見えた。
逃げようとした時には書記が先に動いていて車両間のドアを蹴飛ばして僕の右手を引っ張っていた。
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