第3話
あの夢をみたからこそ分かるが、この学校には可笑しな点が幾つかある。
あの夢とは違い友達を作れたからこそ分かるが(樋口理花さんのおかげ)体育館の構造や体育でのグループ別授業、放課後で一部生徒が先生と定期的に車でどこかに行ったり、何で今まで気づかなかったのだろう……体育館に関しては分厚過ぎる壁に直ぐに気づくはずだった……
悪夢の証拠が一つ一つ見つかっていくことに達成感を上回る恐怖と絶望が背筋を伝い全身に駆け巡るのを感じたて……
悪夢がこれから起きる現実だってことなら、あの虐殺は起きるということでもある。
でも、夢と違う点もある、僕が友達を作ったり、あの目をした生徒がいなかったり、不思議な能力を持ったクラスメイトがいなかったりと……
まだ希望はある。
まずは、あの夢が現実に起きるなら今年の冬だ。それまでに情報を集めなければいけない。
もう、7月になった。これまでの成果をあげるなら、この学校は財団法人の私立校でしかも、その財団法人がオカルトみたいな名前のヤバい組織だということだけだ。
夏休みが近い。こうなったら夏休み期間中に不安の種を解消しよう。
学校の生徒会室、校長室に盗聴器をつけて監視をすることにした。これにはちゃんと理由がある。
まず一つは、校長が夏休み期間中セクハラで逮捕される。
二つは、生徒会の書記が、夏休み期間での集会を終えた帰りに飛び降り自殺をする。
これは夢での出来事だが、あれが予知夢の類いならなら実際に起きるはずだ。これが起きなければ、冬の虐殺も起きないと納得できる。
そんな話を誰かにできるわけもなく1人悲しくこれから起きる書記の自殺を確かめるため学校の前にあるコンビニから週刊誌を読む振りをして監視しているのだが……もうここで4時間は滞在しているかもしれない。途中店員に睨まれたような気がするが気のせい気のせい。
しかし、ずっとコンビニに居るわけにもいかず、お茶のペットボトルを手に取りながらアイスを選び、外での見張りに切り替える準備をしている最中あの男がいた。目に光が無い、完全に夢の中で見た男だった。
その男の後ろには外国人のチンピラみたいな風貌をしたムキムキの男達がその男に話しかけていた。
普通に怖いし、何より眼が合って身体が危険信号を発していたので、早歩きで自動ドアまで逃げて来て外へでた。
空は夕方のような赤色で何の成果も無しで帰らなければいけないのかと思ったが、書記と生徒会長が仲睦まじそうに校門から出てきていた。
なるほど、会長は書記のようなガタイのいい男がタイプなんだな、と勝手に推理した。
さあ、どうしようか。声をかけようにも名前を知らないし、しかも声をかけたところで「今日、書記は死にます」なんて言うわけにもいかず……
よし、後を付けよう。こんな蒸し暑いなか、リア充を見ながら尾行するのは気持ちが沈むが致し方ないか。
呑気にそんなことを考えていたら、会長達が曲がり角を曲がって消えていったのを見て、すぐに尾行を開始するべく小走りで追いかけた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます