第190話 見知らぬ世界
永見から、「何か心配だから、すぐに行く」と返事があった。俺も行ってみよう。
すぐ学校に行って教室に向かうと、香住と本木が対峙しているところだった。直感で何かまずい雰囲気がしたので、急遽方向転換して先生を呼びに職員室に向かった。職員室に辿り着いたが、扉に鍵がかかっている。
しまった!朝早すぎて先生方がまだ来ていない。スマホを取り出して先生達の連絡先がなかったか、探す。
そもそも先生に連絡した事なかったかもしれない。諦めて教室に戻ることにした。
ああ、変に時間をロスしてしまった。何をやってるんだ、俺。さっさと教室に飛び込んだ方がよかった。
廊下を小走りに歩いて行くと笑い声と怒鳴り声が廊下に響いて来た。
さらに教室から言い争う声が聞こえたので慌てて教室にの後ろのドアから教室内に飛び込んだ。
「おい!君たち、何か揉め事か?」
俺が大声で言った直後、一瞬静まり返ったが、すぐに本木と香住の口論が再開された。
いつになく、本木に言い返している香住。凄く怒っているように見えた。その様子に呆気にとられているうちに
本木が香住の胸ぐらを掴んで香住を殴った。
永見が駆け寄ってたか香住を助け起こしたけど,香住は本木に向って行っていた。
俺も止めに入ろうとしたとき、香住が本木に向かって大声で言った。
「‥‥この足を怪我した事故は、御前が引き起こしたんじゃないか。それを親の力と金で隠蔽したくせに。」
その言葉に、一瞬本木の動きが止まった。
香住の怪我は本木が引き起こした?親の力で隠蔽?
どういうことだ、と動揺しているうちに、本木が再び香住を殴って、突き飛ばした。
次の瞬間、目の前がまぶしい光で覆われた。
そして、悲鳴。ちかちかする目で周囲を見回すと、何か真っ赤なモノが飛び散っているのが目に映った。
血?
叫び声が周囲から沸き起こった。次の瞬間、悲鳴をかき消すような重い響きの声が聞こえた。
「静まりなさい。」
振り向くと,ローブを着た金髪の女性が、両手を広げていた。
「ようこそ。勇者の皆さん。貴方達は私達の呼びかけに応じてくださいました。」
なんだ?誰だ?というか、何処だ?ここは‥‥。
「圭‥‥、嘘‥‥だよな。」
永見の声が聞こえた。真っ赤な血のある方向にヨロヨロと歩いて行く。血まみれの騎士が立っている。その足下に‥‥。何?‥‥遺体?
永見が圭って呼んだ?まさか香住か?
あの騎士が斬り殺したのか?
混乱している中、血まみれの騎士と永見達がどこかに追いやられて行った。
そして映画に出てくる中世の兵士みたいな格好の人に両側から腕を掴まれて、金髪の女性の前に引き摺られて行った。そして、いつのまにか金髪の女性が両手で抱えていた大きな水晶の上に無理やり手を置かされた。
「‥‥やや有能。身体能力が基準値を上回っています。」
「そうか、一応保留にしておけ。次!」
何か言われて、今度は水晶の前から強引に引き離されて、床に放り出された。尻餅をつき、立ち上がろうとしたときに腕を掴まれた。
ガシャン
手首に何か鉄のような重い感触があった直後、鍵が閉まるような音。
ゴツい腕輪のような物をいきなり取り付けられた。なんだよこれ。外そうとしても外れない。鍵穴も見つからない。凄く重たい。
「連れてけ!」
再び腕を掴まれて引き上げられた。どこかに連れて行かれそうになったので反射的に手を振り払い、駆け出そうとした。
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