第159話 土産の実

キラキラで目の前が満たされたと思ったら、目の前にアンバー君がいた。


「あれ?アンバー君?」


キョロキョロと周囲を見回すと、戻って来たみたいだ。あれー?「帰還」ボタン押したっけ。まあ、宿題終わったからいいかー。


「あ、ルチル君も宿題終わったとこ?僕、今帰って来たよ。」

「うん。僕も宿題終わったー!」


アンバー君もミニ祝福の宿題をやって帰って来たところみたいだった。

アンバー君が天フォンをチェックしてなんだかちょっと困ったみたいに眉毛を下げた。


「天力が警告ゾーンになっちゃった。行きと帰りで天力つかっちゃったんだなぁ。ルチル君は大丈夫?」

「えー?僕も見てみるね。」


僕も自分の天フォンをチェックしてみた。天力はほぼ満タンだった。え?満タン?


「天力アップしてるぅー。満タン!」

「ええ?ホント?」


アンバー君が僕の言葉に驚いて僕の天フォンの画面を覗き込んだ。

そして僕の顔を見た。


「ルチル君、何したら天力満タンになったの?」

「えー?あ、そうだ。お昼寝したよ。」

「お昼寝? 宿題の途中で?」

「うん。天力の残りが心配になって‥‥。お昼寝したらちょっとは回復するかなって思ったんだ。」

「そっかー。僕も今度は途中でお昼寝してみようかな。」

「うん!やってみてー。あ、踏まれたりしない様に、お昼寝の場所は気をつけた方が良いよ。」

「うん。」


アンバー君がコクッと頷いた後、僕の手元に目をやった。僕の手には器に入った「いちお」の実があった。


「それなあに?」

「これ? 『いちお』だって。」

「『いちお』?」

「食べてみる?美味しいよ。」

「ありがとう!」


アンバー君が「いちお」を一つ手にして、ぱくっと一口で食べた。きゅっと目をつむる。


「甘!すっぱ! でも美味しい!」

「ね。」


ピコン


天フォンの音がした。アンバー君の天フォンが鳴ったらしい。アンバー君が天フォンの画面を見て、琥珀色の大きな瞳を見開いた。そして、口をパクパク、手をブンブンと振った。


「ふああああ?アバババ!」

「どうしたの?」


アンバー君がバッと顔を上げて僕にぐいっと近付いた。


「天力がめっちゃ上がってる!さっき『警告』だったのに!」

「えー?」


アンバー君が天フォンを差し出して来たので画面を覗いてみたら、天力ゲージがほぼ満タンだった。ええー!


「どうなってるの?」

「もしかして、『いちお』じゃない?」


アンバー君が、僕の手元の「いちお」をもう一度見た。

僕はパチパチと瞬きをして考えてみた。


「僕も『いちお』食べた。」

「だからルチル君も満タンなんじゃないの?」

「でもお昼寝もしたよー。」

「そっかー。それもあるかぁ。」


アンバー君が考え込んでいる。僕は、ちょっと思いついて、羽根を広げて飛び上がり、ふんふんと一周回ってから宙返りした。


「あ、ルチル君、飛んでる!?」

「着地ー!」


くるりと回って着地!楽しい!そして天フォンを見ると、ちょっと天力が減ってた。

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